【連載】モンペと呼ばないで! ~怒れるママたちの叫び~

「トイレトレーニング」は保育士の仕事? 多忙ママが、園にとって“モンペ”となるワケ

2018/07/10 17:00

保育園が「読み書きを教える」のは当然なのか?

 保育園と幼稚園の違いとして、よく挙げられるのが“文字の読み書き”を教えるかどうか。一般的に、幼稚園の管轄は文部科学省で、保育園の管轄は厚生労働省という違いがあり、幼稚園では就学前に文字の読み書きを教える一方、保育園では共働きの両親に代わって保育を行うのが目的で、勉強を教える場所ではないという前提がある。しかし、最近では幼稚園でも「のびのびとした保育」をモットーに、園内での家庭菜園や課外学習を行うなど、勉強以外に力を入れている園もあり、反対に保育園なのに、読み書きや計算の時間を積極的に取り入れている園も増えてきている。

 関東で看護師として働いている麻衣子さん(仮名)は、夜勤を行わないシフト勤務だが、長時間労働で土曜出勤もあり、家で子どもとゆっくり過ごす時間がないという。彼女の4歳になる息子が通っている公立保育園では、園生活の中では、いっさい読み書きを教えない。不満に思った麻衣子さんは、「小学校に入学したときに、ひらがなの読み書きができないといじめられたり、劣等感を抱いてしまう」と直接園長に直訴した。

「最近の私立の保育園は、英語教育を取り入れている園もあるのに。うちの園は公立ですが、保育園だから読み書きを教えないって、もう今の時代に合っていないって思うんです。しかし園側が『読み書きなどは、自然と生活の中で覚えていくもの。子どもとのスキンシップの時間を取って、ぜひ絵本の読み聞かせをしてあげてください』っていうんです」

 麻衣子さんが住んでいる地域では、小学校高学年になると塾に通いだし、私立中学への受験が盛んになるという。幼少期の読み書きが、先々の学力に影響するのではないかと、今から心配している。

「もっとママたちが声を上げれば、保育園でも読み書きや計算の勉強は可能だと思うんです。同じ産院で知り合った専業主婦のママさんは、フラッシュ暗算をさせる幼稚園に息子を通わせていて、どんどん差がついてきて焦ってきています。保育園の無償化よりも、時間に余裕がないワーママさんの代わりに、保育園で勉強も見てもらいたいです」

 保育園では、日常業務以外にも、季節の行事や保護者会などがあり、保育士の負担は今のままでも十分大きい。しかし、“仕事をする方が育児よりも楽”というワーママもいるように、トイレトレーニングから始まり、準備に手間のかかる離乳食、箸トレーニング、読み書き計算、側転後転というような簡単な体操など、本来は家庭で行っていた育児・躾を、保育園に期待する保護者たちが増えた。そんな、保育士をサービス業として捉える“モンペ”たちが、保育士不足をさらに加速させてしまわないか、不安は増すばかりだ。
(池守りぜね)

最終更新:2018/07/10 17:00
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