【連載】庶民派ブランドの落とし穴

ユニクロが抱える“3つの地雷”――「とにかく安い」「質がいい」崩壊の足音も?

2018/06/14 18:30

ユニクロは「ブランドステイタスが低い」は本当か?

 こういった数字面からすると、実はユニクロには、取り立てて弱点らしい弱点は見当たりません。消費者目線からは、以前だと「ユニクロの服は色のトーンや柄が変」と言われ、例えば、ピンクやパープルなど、通常の人気ブランドとは色の彩度や明度が異なるものが多く、また柄も通常のブランドの物より特徴がはっきりと見えやすい物が多くありましたが、これも徐々に改善されており、18年春夏商品では、そこまでおかしな色柄の商品は見当たりません。

 また、ブランドステイタスが低いことがユニクロの弱点とされていたものの、クリストフ・ルメールとのコラボ「Uniqlo U」やJ.W.アンダーソンなど、世界的一流デザイナーとのコラボラインを発表し続けることでそれも克服しつつあります。今春からは新たにトーマス・マイヤーとのコラボラインも始まり、ユニクロはその財力を生かして今後もさらに一流ブランドとのコラボを続々と発表するのではないかと推測されます。

 業界的な話も1つ。ユニクロは、「インターネット通販比率が低いことが弱点」だとまことしやかに語られていますが、ユニクロのネット通販売上高は500億円前後あります。ユニクロは国内売上高が8000億円なので、単純計算だと6%超となり、確かに低いように思えますが、単独ブランドのネット通販売上高ではユニクロが断トツで首位なのです。ほかのブランドのインターネット通販比率の方が高かろうが、それは基準となる売上高そのものが小さいから、比率構成では高くなるというだけ。例えば、STUDIOUS(ステュディオス)やUNITED TOKYO(ユナイテッドトウキョウ)などのブランドを展開するTOKYO BASE(トウキョウベース)のインターネット通販比率は38.9%ありますが、トウキョウベースの売上高は127億円しかなく、インターネット通販の売上高も50億円ほどしかありません。ユニクロは基準となる売上高のケタが違うのです。それを無視して%表示だけで比較するから、このようなミスリードを引き起こしてしまうのです。

全身ユニクロ! 朝、マネするだけ
ダサクロ柄がなくなったのはちょっと寂しいわ……
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