想像以上のカルトぶりでドン引き

女性に焼き印を入れ、指導者とのセックスを強要ーーセックスカルト集団はハリウッドに侵食していた

2018/04/26 19:00

指導者とアリソンのイニシャルをかたどる焼き印

 アリソンは、ハリウッドから教団の本拠地であるニューヨーク州オールバニに移住している。NXIVMの「ジェーネスト」という理論に基づき、第二セクト「DOS」を立ち上げたとされている。ジェーネストとは、「男性は遺伝的に種をばら撒くため一夫一婦にはなれないようにできている。女性は遺伝的に一夫一婦になるようできている。また。女性は男性に貢献しなければならない」という男尊女卑極まりない教えだ。ここから教団では「女性は男性の性奴隷になるためにこの世に生を受けており、男性の中で頂点に立つキースの性奴隷になるのがこの上ない喜びだ」と考えているとされる。

 サラの証言によると、DOSのメンバーになるためには、忠誠の証として全裸写真や、家族や他人に知られたくないパーソナルな事柄を書いて提出しなければならない。弱みを握られた上で性奴隷にさせられるのだ。そして、セレモニーとして、全裸で目隠をされ、焼き印を押される。焼印はラテンのシンボルだと説明されたが、横にするとキースのイニシャル「KR」、右に90度動かすとアリソンのイニシャル「AM」になる。サラの体にはその焼き印が今もくっきりと残っている。また、DOSにおいて、アリソンはキースに続くナンバーツーであり「トップ・マダム」と呼ばれていたという。

 娘が洗脳されていると告発したキャサリンによると、教団はセミナー代として大金を詐取するだけでなく、1日500〜800カロリー分の食事しか与えられず、奴隷のように扱われ、キースとセックスするように強制される。教団を立ち上げる前から付き合っていたキースの元恋人で、別れを切り出したところ繰り返しレイプされたと訴えている女性によると、キースは悩みを抱える女性の話をじっくりと聞き、慰め、「君がつらいのは、自分を癒す方法を知らないからだ。私が助けてあげよう。性的に、知的に」と語ってセックスをする。キースは「セックスは自分のエネルギーをシェアする行為」だと豪語し、複数の女性と性的関係を持つハーレムも作っているそうだ。

 トップ・マダムと呼ばれ気を良くしていたアリソンは、使命に燃え、性的搾取するための女性をリクルートしまくっていたとされる。『シックス・センス』に出演していたサミア・ショエイブが、米紙「ニューヨーク・ポスト」の芸能版「Page Six」で、「アリソンに勧誘された」と告発した。2人は、2013年にテレビドラマのオーディションで知り合いになったそうで、メールで誘われて食事をし、フェミニズムの話題から「NXIVM関連の女性グループ『ジェーネスト』に入らないか」と勧誘されたのだそうだ。プライベートで会うアリソンは目の下にひどいクマができており、「ディナーしてくれてありがとう。楽しかった。あなたって本当にデリシャスな女性よね」と一種、異様な内容のメールを送ってきたこともあった。

 アリソンは「ジェーネストは、女性同士が経験をシェアしてサポートするグループ」だと説明し、グループのイベントに参加するよう熱心に勧誘した。しかし、サミアの年齢を知った直後から勧誘はピタリとやんだという。エキゾチックなルックスで若く見えるサミアは現在47歳。アリソンが勧誘をしていた時には、42歳だった。どうやら、性奴隷にするには年を取りすぎていると思われたようだ。

 キースは、女性たちの告発を受け、今年3月26日、メキシコにいるところを「女性たちに対する性的搾取の容疑」で逮捕され、身柄を米国に引き渡された。アリソンも今月20日にこの性的搾取に関与したとして人身売買の容疑で逮捕。女性たちをリクルートするだけでなく、「『忠誠の証』として提出させたものを公表する」と脅し、キースとのセックスを強要した容疑もかけられている。

 アリソンは500万ドル(約5億4000万円)の保釈金を支払い、すでに釈放されている。無実を主張しているが、NXIVMの元広報が立ち上げた、キースの悪事とDOSの実態を暴露するウェブサイトには50人を超えるDOSの性奴隷メンバーの名前が写真まで添えられリストアップされており、裁判になれば彼女たちの家族が黙っていないだろう。

 一方のキースは、「自分はNXIVMで自己啓発しかしていない。焼き印や性的搾取などは初耳。自分が知らないところで行われていた」とし、第二セクトであるDOSとは無関係だと主張しているという。

 元信者たちは、キースが、ブロンフマン姉妹の金で有能な弁護士を雇って無罪を勝ち取り、同じく姉妹が購入したフィジーにある広大な敷地の元リゾート施設に、信者を連れて移住するのではないかと懸念している。孤立した場所でカルト集団としてますます力を増し、インターネットなどで信者をリクルートしたり、アリソンのような忠実なセレブ信者を使って、綺麗で若い女性を集め、いよいよキースのために巨大なハーレムを築き上げるのではないかと心配しているのだ。

 信者の家族たちは、アリソンもキースも有罪になり、洗脳されていた信者が解放され、NXIVMが解体されるよう、切に願っている。女優のアリソンが裁判の証言台でどのように振る舞うのか、オタクっぽい冴えないキースがはたして逃げ切ることができるのか、今後の展開を注視したい。

最終更新:2018/04/28 14:37
「カルト宗教」取材したらこうだった (宝島社新書)
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