ネットユーザー大激怒!!

ブランドバッグが“女のレベル”を決める!? 実業家男性の「セリーヌ以上希望」発言がお門違いなワケ

2018/04/10 20:05

セリーヌは他人ではなく、自分のために持つバッグ

 セリーヌは、1945年に女性実業家であるセリーヌ・ヴィピアナが、夫とともにフランス・パリで“皮革のオーダーメイド子ども靴専門店”を開いたことからスタートしたという。「自分たちの子どものために、職人が作った上質な靴を」との思いが、そもそものきっかけだったそうだ。それが上流階級の人々の間で支持をされ、婦人靴やバッグ、アクセサリー、女性向けの服などの分野にも進出していったという歴史がある。それだけに、「女性のレベルうんぬんという話で語られるべきブランドではない」と指摘するのは、セリーヌとも関わりの深いファッションライターだ。

「セリーヌは、“ミューズ的な女性”がおらず、明確なターゲットを持たないブランドなんです。つまりそれは、『どんな女性にも身に付けてもらいたい』というブランド側の思いによるものと考えられます。セリーヌのバッグといえば、“機能性の高さ”が支持されており、働く女性に人気というイメージも強いですが、一方で専業主婦の方やお母さんにも愛用者は多いんですよ。またセリーヌは、よく“エフォートレス”という言葉で語られ、これは簡単に言うと“頑張りすぎない”“無理してない”という意味合い。そういった点からも、女性のレベルを決める、また女性同士が張り合う“バッグ”の話の例として名指しされるのは、ちょっと違うんじゃないかなぁと思ってしまいます」

 17年末、セリーヌのクリエイティブ・ディレクターを務めたフィービー・ファイロが退任を発表。18年秋冬シーズンが最後のコレクションとなり、現在、店頭に並んでいるのは、彼女の手がけたものとなる。

「彼女がこれまでに手がけたバッグといえば、『ラゲージ』『クラシックボックス』が有名ですね。彼女自身が、デザイナーであり母でありという立場のため、やはり『いろいろな女性に持ってもらいたい』という思いのもとコレクションを作ってきたんです。ファッションジャーナリストであるスザンナ・フランケルは、彼女を『誰かほかの人の目を惹くためのデザインではなく、着る人自身のためのデザイン』と評しており、またセリーヌを着る人は『他人の称賛を浴びるために着飾るのではない。彼女自身の喜びのためだけにそれを着る』とも言っています。今回話題になっているのはバッグではありますが、セリーヌのバッグを好む人は、誰かと競うためじゃなく、自分のためだけに持っていると、私は信じたいですね」

 セリーヌのバッグを愛用する女性たちが、そういったブランドの思いまで熟知しているかは定かではない。しかし、外野から投げかけられる悪意ある視線に屈しない気持ちとともに、セリーヌを持ち続けてほしいと願うばかりだ。

最終更新:2018/04/13 18:11
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