“中学受験”に見る親と子の姿

私立中の懇談会で「こんな偏差値の低い学校に」と泣く母――中学受験での不合格は“負け”なのか?

2018/04/08 17:00

滑り止め校も「不合格」というトドメを刺された母子

 東京・神奈川の中学受験生は、2月1日の受験日から連日で受験していくことが一般的である。最近は午後受験の機会も多いので、午前→午後→午前→午後→午前と受け続ける子もたくさんいる。2月1日から2月6日までの間で10校受験している子もいるほどだ。これは結果が芳しくないから、後半日程まで長引いたということの裏返しであるが、“不合格”というレッテルを連日連夜貼られ続ける親子の苦しみは、想像を絶する。

 例えば、こんな話を聞いたことがある。健斗くん(小学6年生)の本命校はB中学。3回入試を行っている超人気校である。健斗くんは小学3年生でB中学の文化祭に訪れて以来、同校にあこがれ続け「絶対にB中学に入る!」という信念を持って、勉強し続けたという。

 ほかの多くの受験生がそうであるように、健斗くんも友人との放課後の遊びを封印し、塾に駆け付ける日々を繰り返し、夏休みも冬休みも朝から晩まで塾に居続ける生活を送っていた。

 これだけ長い期間にわたって準備し続けた努力が実り、6年生での模試の判定では、一度もA判定(合格確実)を逃したことがなかったという。絶対の自信校であり、熱望校であるB中学。それなのに、本番1回目入試だけならばまだしも、2回目も不合格という信じられない結果が出てしまったそうだ。健斗くんは熱望校のB中学と共に、その上のチャレンジ校を受験したが、そこも不合格。そしてさらに、滑り止め校としていた受験校も不合格というトドメが刺された。

 合格校はゼロという状態で、明日はいよいよB中学の最後の入試を迎えるという日、家の中は修羅場と化した。滑り止め校もまさかの不合格であることがわかった午後7時、健斗くんは自室に閉じこもり、そこから一歩も出ようとすらしなかったという。

 その姿を目にしたお母さんは、「私の方が泣いてしまった」とのこと。涙がとめどなくあふれてきたのは、健斗くんが布団の中で声を押し殺して、泣いているのがわかったから。まだ年端も行かぬ11歳の子どもが、母に心配かけまいとして、母には聞こえないように気を使って泣いている……「これならば、荒れ狂って、泣き喚いて、私に当たり散らしてくれた方がまだマシだとすら思った」という。

「このままではいけない。母である自分が泣いてどうするのだ? 健斗の方がつらいはず。それなのに、涙を止められない。どうにかしないといけないと焦れば、焦るほど、どうしていいのかわからない。こんな状況下でも、明日でほぼ全部の中学入試日程は終わってしまう。全落ち(全ての受験校に不合格という意味)だけは避けたい。だとするならば、明日はB中学を諦めて、より確実な中学を受験すべきなのか? でも、ここまでB中学を目指して頑張ってきたのに? 健斗はこんなに努力をしてきたのに? なんで……? どうして……?」

 中学受験は時として、母をこんな精神状態にまで追い詰めるものなのだ。

中学受験に合格した先輩たちはみんなノートと友だちだった 合格するノート力をつける3つの条件
健斗くんを抱きしめたい気持ちでいっぱいになっちゃう!
アクセスランキング
  1. 持ち偏差値より低い中学を受験した娘
  2. 「新しい自分になる」危険ドラッグで8階から飛び降り――「ラリってしまいたい気持ち」を禁止しても意味ない?
  3. 大谷翔平と代理人バレロ氏の心配な報道
  4. メルカリで31万ネックレスが27万に! 4万円の値引きに成功したワケ
  5. 警察がヤクザより力を入れる犯罪組織「トクリュウ」とは? その厄介さを元極妻が解説
  6. 「私には迷信と思えない」幼い息子に起こった異変とは? 奇跡的だったお坊さんの指摘
  7. 皇室の“セックスマニュアル”? その内容は
  8. 「男の宿命的な性」への憎しみ
  9. 大谷翔平、違法賭博問題で「裏社会」関係に疑惑?
  10. 秋篠宮さまの“プロポーズ美談”は全部ウソ?
  11. 憲法は「暴力団員であること」を禁じていない! 餃子の王将社長射殺事件、パソカ規制問題、工藤會死刑判決を元極妻が解説
  12. 132万のジュエリーの代わりに買ったもの
  13. 「美智子さまいじめ」の主犯
  14. 実父の強姦が黙殺された「栃木実父殺し」から現在
  15. 『大奥』問題がある演出とは?
  16. 中学受験の合格手続きでミス
  17. 学習院「常磐会」が行った「美智子さまいじめ」
  18. 2023年のクスリ押収量は過去2番目! イーロン・マスクのドラッグ使用疑惑を解説
  19. 中学受験6連敗の母に伝えたいこと
  20. 生活費3億円のお嬢様が皇族妃に?