【連載】紫帆ママが見た「きょうのクソ客」

部下イジメでウケ狙い、女性客に密着セクハラ……金曜の飲み屋にはびこる“クソ客”の生態

クソ客が逃げ出した、トドメの言葉とは……

 女性から離れるようにと私が注意した直後、よく通る声が店内に響き渡りました。

「こういう店では、ほかのお客が連れてきた女性には声をかけないもんですよ」

 常連さんの一喝でした。60代後半ながら男として現役感漂う、しかし紳士的な姿勢を決して崩さない常連さんの言葉は重みと迫力をたたえていました。その後は連れのリーマン仲間に諭されてすごすごと撤退したオッサン……(なぜか、こういう迷惑な奴に限って連れの人が超絶いい人なんですよね)。

 これにこりて飲みに来ることもなくなるだろうとのんきに構えていたら、なんとオッサンは翌週にもご来店。前回とは違うお連れさまと、何食わぬ顔で飲み始めたオッサン……。ここはなんとしてもトドメを刺さねば! 経営者としてそう判断した私は、あくまでにこやかに、そして店内のお客さま全員に聞こえるように言いました。

「今日はもう、女性のお客さまにセクハラしないでくださいね~~!」

 満席の店内に緊張が走り、それからお客さまの視線がオッサンに集まります。慌てながらも必死でとぼけるオッサン。やがて、空気を読んだお連れさま(やっぱり善良そう……気まずい思いさせてゴメンね)に促されて店を出ていきました。仲間内でのマウンティングだけで生きる実感を得ているこのタイプには、「仲間の前で恥をかかせる」攻撃が効果的なんですね。

 それからはオッサンの姿を見ていません。そもそも、内輪のポジション取りだけが生きがいの彼のような人種が、「個」を試されるバーに来て楽しいのでしょうか? 

 思うに人間とは、自分から一番遠い世界に心惹かれるものなのかもしれませんね。

 

(隔週金曜日・次回は4月13日更新)


プロフィール
浮川紫帆(うきがわ・しほ)
東京都内の繁華街の一角でバーを経営する30代バツイチ女性。ママ歴は6年。好きなお酒はマカストロングのお湯割り。


(イラスト=ドルショック竹下)

最終更新:2018/03/30 15:30
東京女子立ち呑み
一瞬で酒がマズくなるよね!

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