「全国宅地建物取引ツイッタラー協会」全宅ツイのグル氏インタビュー【前編】

“クソ物件”はなぜ生まれるのか? 「裸の王様になりやすい」不動産オーナーの実態

2018/03/24 19:00

クソ物件が生まれてしまう背景とは?

 素人の目からしても、「おかしい」と感じてしまうクソ物件。なぜ、こうしたクソ物件が生まれてしまうのだろうか? 全宅ツイのグル氏が、その背景を解説してくれた。

 建物の設備や間取りはさまざまな制約のもとに決定されます。例えば、敷地の広さや形、予算、建物の構造、階数などなど。そしてもっとも大きいのが不動産のオーナー(貸主)の意向です。オーナーがこうしたいという間取りを実現するのは、建築士であったり工務店であったりするわけですが、例えば、貴方が工務店の営業担当だとして、オーナーが自分の好みをゴリ押ししたすごく変な間取りを希望してきた場合、貴方は、それは変だからやめときましょうって断れますか? 大きな金額の工事自体を受注できなくなるリスクを犯して。

 不動産のオーナーはその資金力、発注者である立場から、裸の王様になりやすいのです。そして厄介なことに建物を企画する際は誰でも舞い上がってしまう。想像してみてください。自分がオーナーの建物を建てるとき、あなたはあなたの思い入れとロマンをブチ込まずにはいられないはずです。

 もう1つ、建物は、企画する人と実際に利用する人が異なることが多いという構造の問題です。注文住宅なら自分が使いやすいようにできるので、使う人の立場に立った設計を考えると思いますが、人に貸すアパートやビルの設計ならどうでしょう? これまで御覧いただいたクソ物件は? クソ物件を作った人がそこに住んでいると思いますか?

 このように、クソ物件をご覧になるときは、建物新築に舞い上がった裸の大家さんとずる賢い家来たちが仕様や間取りについて話し合ってるシーンを思い浮かべると、いっそうそのクソ物件の味わいがますかと思います。

(後編につづく)

「全国宅地建物取引ツイッタラー協会」公式サイト
「クソ物件オブザイヤー」公式サイト

最終更新:2018/03/25 22:01
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