知られざる女子刑務所ライフ33 

ASKAの更生に必要なのはアレ! シャブ地獄から生還した元女囚が語る「更生への道」

2018/03/04 16:00
Photo by Emilie from Flickr

覚醒剤の使用や密売などで逮捕起訴され、通算12年を塀の中で過ごした後、その経験を基にさまざまな活動を続ける中野瑠美さんが、女子刑務所の実態を語る「知られざる女子刑務所ライフ」シリーズ。

■ASKAの更生に必要なのはアレ

 バレンタインの後くらいに、ASKAが「不倫相手と別れていない」つまり「更生していないのでは?」との報道がありましたね。ネットの記事やと「元不倫相手」がASKAの自宅兼事務所から出てきたって、それだけですよね。これは、ちょっとかわいそうやなあと思いました。

 確かにASKAは謎すぎる「ギフハブ」やら、「採尿したのは尿じゃなくてお茶だった」発言やらあって、正直「まだシャブいっとんかいな?」と思わないでもないです(笑)。でも、証拠もないのに「また『シャブ愛人』と不倫かい!」いうのはどうなんでしょう。そもそも離婚してますから、もう「不倫」と違いますしね。

 更生のためには、「守るもの」が必要です。ASKAと元カノさんがお互いを必要としてれば、それでええのと違いますかね。

■「ママに会いたい」と泣いた息子

 何回か書いてますが、私が覚醒剤の地獄から生還できたのは、家族のおかげです。私が初めて懲役に行ったのは24歳でしたから、子どもたちもまだ小さくて、ずいぶん寂しい思いをさせています。そのせいで非行に走ったこともありました。

 次男が事件を起こしてしまい、少年院に行く時に「ママに会いたい」と泣いていたと聞いて、ホンマにクスリはもうやめようと思いました。本当の更生までには、それからまた時間がかかりましたけどね。

 子どもはすぐに大きくなって、抱っこしてあげられる時期はほんのわずかです。その大事な時期に覚醒剤の事件でムショに行っていた私を、子どもたちが慕ってくれている……。切なくて、自分をかなり責めました。ASKAも、守るものがあれば、報道陣に追い回されても復活できると思います。私の場合は、母は障がいがあって働くのは難しいし、子どもたちも問題を起こしてしまい、「私がしっかりせな……」と思ったのも更生につながったと思います。

 おかげさまで、今は2つのラウンジを経営して、私を「ポン中」とバカにしたヤツらよりもいい生活をしています。新車も自分で買いました。まあ「我ながら、ホンマようやめられたなあ」ちゅうのが本当のところですね。神様に守っていただいてるんやなあと、しみじみ思います。誰にも迷惑をかけない生活が一番ですが、もし落ちても、がんばればはい上がれるもんなんですよ。「がんばってよかったね」と、いつも鏡の中の自分に向かって言ってます。

■「がんばるしかない」と気づいたら勝ち

 そうはいっても、なかなかはい上がれない時って、ありますよね。私もそうでした。でも、つらくても、つらくても、1年後の自分を想像してがんばってください。がんばるしかないんですよ。そこに気づけたら、もう大丈夫です。

 実は、友達にも何人かアルコールや過食の地獄を抜け出せないコがいてます。みんなそれぞれ仕事も成功して、家族もいてるのに、なぜかダメなんですね。悲しいことやつらいことは、生きていれば必ずあります。逃げないで向き合いましょうよ。

 こないだアル中の友達の家に行ったら、トイレの棚に自己啓発本がたくさん並んでました。「自分に勝つ」みたいなテーマですね。「今はアカンけど、自分なりに脱出したくて、がんばってるんやなあ」と思ったら、めっちゃ愛おしくなって、抱きしめてあげました。ASKAも、人知れずがんばってるかもしれませんよ。腹膜炎でタイヘンやったみたいですが。

 私も、だいぶ時間がかかりましたけど、今は大丈夫です。せやから、皆さんも大丈夫です!

中野瑠美(なかの・るみ)
1972年大阪・堺市生まれ。特技は料理。趣味はジェットスキーとゴルフ。『ダウンタウンなう』(フジテレビ系)や『新・情報7daysニュースキャスター』(TBS系)などへの出演でも注目を集める。経営するラウンジ「祭(まつり)

最終更新:2018/03/30 18:40
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