[女性誌速攻レビュー]「GINGER」1月号

「1人映画は恥ずかしい」炎上を経て……「GINGER」女子の“自意識過剰”が大暴走!!

2017/12/23 22:00

「GINGER」女子に足りないものは他人とのコミュ力?

 最後に見ていくのは「幸せのカタチと、見つけ方」です。またしても冒頭2ページを使って、精神科医の名越康文氏から、「なりたい自分になるため」の「ネガティブな思考をプラスに変換する8つの思考」が羅列されています。「期待を半分にすることが、自分らしく過ごす第一歩」「ありのままを認めて自分目線で考えよう」「未来を考えるのはポジティブなときだけ!」「ひとりの時間こそが逆に孤独感を解放させる」「世間的な基準よりも納得できる道を選ぶ勇気を持って」などなど、まあ、どこかで一度は聞いたことのあるような紋切り型のアドバイスばかり。というか、「GINGER」女子たちが、最初から「1人の時間」を楽しめるようなタイプだったら、1人で映画だって余裕で楽しめますからね!

 次ページからは、著名人のインタビュー。女優の安達祐実は、脚光を浴びた子役時代から、女優へのステップアップに苦労した20代の時期を経て、現在、公私共に充実した日々を送っている自身の半生について語っています。「彼に出会って、私の人生すべてが変わった」「(夫と)出会うまでは、自分を労らず、今考えるとめちゃくちゃな生活をしていました」「美味しいものを誰かと一緒に食べることがこんなにも幸せなんだって人生で初めて気がついたんです」「今は主人にとって私がいる意味があれば、それでOKかなって思うようになりました」とのこと。確かに“幸せ”をつかんではいると思うのですが、それって結局は、良きパートナーと巡り合えたおかげ? それはもはや運なのでは? とついつい穿った見方もしてしまいます。

 書籍の表紙を担当するなど、イラストレーターとして活躍する松尾たいこさんは、30代でイラストレーターに転身。それまでは「人の意見に流されるタイプ」で、なんとなく「地元の会社に勤めて」いたそうですが、「すごく仕事ができる先輩が会社を辞めた」ときに、人生を真剣に考え直し、以前から好きだった絵を本格的に学びたいと学校に通い始めたそう。最後に登場するのは、オグシオの愛称で親しまれたバドミントンの元オリンピック選手で、現在はインストラクターや解説者、タレントとしても活動している小椋久美子さん。「現役引退後、どん底まで落ちた」時期もあったけれど、「ある人に“頑張る努力を放棄している”と言われて目が覚めました」と語ります。そこから活動を再開し、現在のキャリアを築くまでになったそう。

 3人に共通するのは、自分らしく生きられるようになったきっかけは、自分の中ではなく、他人の言動にあったということです。「ありのままの自分を肯定しよう」「自分を好きになろう」「自信を持とう」と言葉で言うのは簡単ですが、もしかするとそれって、自分1人で考えても解決しない問題なのかもしれません。「GINGER」女子たちに必要なのは、他人にどう見られているかを気にして自意識過剰になったり、逆に相手に喜んでもらおうという気持ちから周囲に気を使うことではなく、ただ他人の声に耳を傾けて対話をする、ということなのかもしれないな、と思いました。
(橘まり子)

最終更新:2017/12/23 22:00
GINGER(ジンジャー) 2018年1月号 
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