毛深い、小さい…セックス関連のコンプレックスで絶対やってはいけないこと

2017/11/09 20:00

 このコラムでもたびたび書いていますが、私は性器にコンプレックスがあります。そして、毛深いのもコンプレックス。躍起になってパイパンにしようとしているのも、そのせいです。そのためにいくら脱毛にお金を費やしてきたか……(遠い目)。でも、それでコンプレックスからだいぶ解放されつつあるので、散財した甲斐があるというものです。

 性においてコンプレックスを持っていない人など、きっといないでしょう。性別や年齢を問わず、誰もが何かしらの劣等感や屈託を抱えているはず。それは私の性器、体毛のようにフィジカルなことかもしれませんし、男性なら早い、女性なら濡れないといった機能に関することかもしれません。テクニック面でもやもやしたものを抱えている人もきっといますよね。

 コンプレックスには自分発のものと、他者から付与されたものがあります。すごく濡れにくい女性がいたとして、パートナーと一緒に潤滑剤を使うなど工夫しながらスムーズにセックスを愉しんでいて、痛みも感じないのなら、それはコンプレックスにならないでしょう。でも心ない人から「濡れにくいなんて、女としておかしくね?」などと詰られることで芽生えるコンプレックスもあります。

 私は性器や体毛について無神経なことを言われた経験はないのですが、じゃあこれが内発的なコンプレックスかというと、そうとも言えません。まだ性を意識していない10代の頃から、雑誌やテレビで見るモデルさん、女優さんの肌がムダ毛どころか毛穴さえなさそうなのを見て、「それに比べて私は」とひとり胸のうちでコンプレックスを育てました。

◎メディアが植え付けるコンプレックス

 そのうちこっそりAVを観るようになって、セクシー女優さんの性器と自分のそれを密かに比べるようになり「私のは、なんかヘンな気がする」と悩み、「早くセックスしたい」と「好きになった人に、こんなもの見せられない!」との間で揺れていました。う~ん、思春期!

 これらはメディアによって植え付けられたコンプレックスとも言えますが、同じような思いをした人は少なくないと思います。メディアにおける女という生き物は、ムダ毛なし、体臭なし、口臭もなし、常に体型は綺麗に保たれていて、髪はつやつや、肌はうるうる、下着もいつもセクシーに……これ、もう人間じゃないですね。何もしなくてもすべてクリアできちゃう恵まれた人もいるでしょうが、それを“基準にされたのでは、たまったものではありません。

 一方、コンプレックスがどんな経緯で生まれたとはいえ、それを自分以外の誰かに押し付けてはいけないものです。

 先ごろ「股間からアダルト玩具を露出 63歳古物商のコンプレックス」というニュース記事を見つけました。露出狂に遭遇! モノを見せつけられた! と思いきや、それはディルドでした、というオチ……いや、これはオチなのか!?

 私は「バイブ」コレクターなのでディルドはほとんど持っていません。でもリアルショップでもネットショップでもディルドジャンルを覗くことはよくあります。ま~エグいエグい! 基本的にはペニス模倣系、より誇張してグロテスク感をアップさせたものも多く見かけます。素敵なデザインのものもないわけではないのですが、ごく僅か。バイブレーターは男根を連想させないデザインが世界の主流になっているのに対し、ディルドの世界はどれだけ男根感があるかを競い合っているようにすら見えます。

この露出犯が使用していたのは長さ25cmとかなりの大型モデルです。もっともこのジャンルは、女性の片腕ほどあるものもちらほら見かけるので、最大級とも言えないのが恐ろしいところ。見せつけられた女性たちが気の毒です。嫌悪感で胸がいっぱいになったことでしょう。そんなものを見せられて、「本物のチンコじゃなくて、作り物だから」という理由で公然わいせつから迷惑防止条例違反へと引き下げられるのもおかしな話ですね。

 露出犯は自身の性器へのコンプレックスからそんな行動に出たといいます。私から彼に届けたい言葉は、「テメェのコンプレックスは自分でなんとかしろよ!」です。他者を巻き込んでそのコンプレックスを解消したり、コンプレックスを押し付けることで快感に浸るのは、あってはならないこと。その歪んだ精神構造を見せつられることが、擬似ペニスを見せられること以上に気持ち悪く思えます。

 この男性のやったことは紛れもなく犯罪であり、とても極端な例ですが、似たようなことをやってしまっている人は少なくないのではないでしょうか。

 たとえば、ベッドで初お手合わせの時、まだ何もしていないうちから「小さくてごめんね」と謝ってくる男性、私はこれまでの人生に複数人、遭遇しました。えー、何もしていないうちから謝られても……。「そんなことないよ」と返すのが正解なんでしょうが、正直、本当にミニミニサイズというケースもありました。でも、それだって2人一緒に気持ちいいひと時を目指せば、まったく気にならないものですよね。なのに先手を打って謝られるとイヤでも気を遣うし、自分の快感に集中できないしで、最終的にはがっかりセックスで終わりました。

 もしかすると男性はその理由を「俺のが小さかったからだ」と思っているかもしれませんが、真の理由は「そのコンプレックスにつき合わされても楽しくないから」です。男性は大きさに対する思い入れが強いので、「小さくてごめんね」となりますが、他のコンプレックスについて似たようなことをしている女性も多いと思います。

◎人のコンプレックスはどうでもいい

 乱暴な言い方をすれば、たとえセックスするような相手でも、他者のコンプレックスなんて知ったことじゃないのです。その人のコンプレックスは、その人だけのもの。他の人から見ればどうでもいい……というとまた乱暴ですが、たいして気にならない、むしろチャーミングに見えることすらあるものです。それについて真剣に相談したいというのであれば別ですが、「そんなことないよ」とフォローされる気満々で吐露されても、めんどくさい。ベッドの上でお互いコンプレックスを披露しあっても、セックスにプラスの作用をもたらすとは思えません。

 ましてこの露出犯は、なんの接点もない女性たちに自分のコンプレックスを最大級に歪んだ形で押し付けているのです。この犯人も過去に、サイズのことで詰られて傷ついた経験があるのかもしれません。それが年月とともに肥大化して犯行に繋がったのなら、同情の余地がないわけではないものの、それによって他者を傷つけたり迷惑をかけていいことにはなりません。

 自意識に振り回され、コンプレックスで自分の世界が占められるように感じる時期も、人生のうちにはあるでしょう。でも、その状態って自分にとってもめんどくさい。コンプレックスに自分も他者も振り回されないようになった時、人は大人になったと言えるのかもしれません。私も他者を巻き込まないのはだいぶできるようになったけど、自分のことは振り回してしまう時があるのでまだまだですね。

最終更新:2017/11/09 20:25
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