[女性誌速攻レビュー]「GINGER」11月号

田中みな実の“アラサー独女自虐”が浮き彫りにする、「GINGER」女子の生きづらさ

2017/10/23 16:00
ginger201711
「GINGER」(幻冬舎)2017年11月号

 今月の「GINGER」(幻冬舎)の表紙は、グレンチェックのスーツスタイルに、おしゃれなデザインの縁あり眼鏡をかけた綾瀬はるか。この秋流行の「オジ柄ファッション」ではあるものの、一般人が真似すると、ただのオジサンになってしまう危険性を孕んでいます。「#おしゃれに働く」というハッシュタグ風のコピーが今号のテーマなのですが、ファッションページをパラパラめくると、「ゆるシルエットの羽織りワンピース」「こっくりカラーのマーメイドスカート」「地面スレスレ丈のタックワイドパンツ」と、これまた難易度高めのアイテムがズラリ。いくら「通勤服はもっと遊べる!」と言ったって、さすがにこんな、どぎつい紫のパフスリーブ風ブラウスで出社したら、ハロウィンの仮装か何かと勘違いされてしまうんじゃないでしょうか? まあ、「GINGER」のやることが極端すぎるのにも、もう慣れてきましたけどね……。それでは、中身を見ていきましょう~。

<トピックス>
◎おしゃれに働く現場から
◎フリーアナウンサー 田中みな実のここだけの話(ハート)
◎GINGER世代の恋愛観・結婚観

■田中みな実と「GINGER」女子の共通点

 まずは、さまざまな職に就く7人の女性の、とある1日を密着取材した「おしゃれに働く現場から」を見ていきましょう。トップバッターは、フリーアナウンサーの田中みな実です。「何で田中みな実?」と思われる方もいるかもしれません。しかし、局アナ時代はぶりっこキャラで、嫌いな女子アナランキングの常連だった田中ですが、フリーになってからは元カレであるオリエンタルラジオ・藤森との過去をネタにしたりと、ぶっちゃけキャラに路線変更。レギュラー番組も堅調に増え、アラサー女子からも一定の支持を得ています。

 そんな彼女は、実は「GINGER」の顔とも言える存在です。「田中みな実のここだけの話(ハート)」という連載エッセイを持ち、モデルやタレントたちと並んでたびたび誌面でも特集されることもあります。むしろ身長が153センチと低くてコーディネートに悩んでいるところや、エッセイで飛び出す独身アラサーとしての自虐ネタ、デパコスからプチプラまで網羅するコスメオタクの一面など等身大の姿が、香里奈、山田優、長谷川潤などオーラ強めのレギュラーモデル陣より読者の共感を呼んでいるのかも。

 早速、田中の1日を見てみると、レギュラー番組の生放送、ラジオ収録、雑誌の取材とスケジュールがびっしり。仕事終わりにはジムへ行き、その後は寄り道せずに帰宅。翌日に備えて24時前には必ず寝るなど、プロ意識の高さも伺えます。

 一方、今月の「ここだけの話(ハート)」では、これまで好きなタイプは「甘えられる年上男性」と言ってきたけれど、最近では「自分を頼ってくれる年下男子」をカワイイと思えるようになってきたという話題を出し、「30で切羽詰まって守備範囲を広げようと画策しているわけではなくて(笑)、これがいわゆる“母性”ってやつではないか」と語っています。そして、これまでは「私の場合、赤ちゃんや子供に『カワイイ~』と近づくと、あざとさ満点に見えてしまうことを自覚しているから意図して子供を遠ざけてきた」と、なんともこじらせた一面を暴露。「この行き場のない母性を男性に向けたくなる」けれど「なんか方向性違くない!?」と締めくくっていますが、何もそこまで自虐に走らなくてもいいのに……と思ってしまいます。

 田中は間違いなく美人な部類に入りますし、さらに女子アナというブランドがあるのですから、黙っていても恋愛のチャンスがやってくるのは当然です。何だか無理やり自分を「独身アラサー女子」の代表に追いこんでしまっている気がしてなりません。以前のぶりっこキャラもそうでしたが、田中は、周囲から期待される役割に全力で応えてしまうタイプなのではないでしょうか。バラエティ番組での受け応えや芸人からのいじりへの切り替えしなどを見ても、頭の回転の早さは一目瞭然。その場で求められる対応を瞬時に察し、さらに応えられるだけの高い能力を持ち合わせているように思います。

 もしかすると、職場における「GINGER」読者たちも同じなのかもしれません。今月号で田中と同じ企画で密着取材されていたのは、レコード会社のプランナー、大手メーカーの研究員、IT企業の社長秘書など、一般職OLとは一線を画す専門的な職業ばかり。恐らく、彼女たちは、目標に向かって学生時代から努力を積み重ねてきた優等生タイプなのではないか……その真面目さから、職場で求められる役割をまっとうしているのではないか……そんなことを思ってしまいました。そのうえ「#おしゃれに働く」なんて意識の高いことを求めるなんて、「GIGER」編集部、鬼畜すぎ! 普通に働いてるだけで、みんな十分偉いですよ!

 そういえば田中みな実、先月の「an・an」(マガジンハウス)で手ブラ姿を披露してましたよね。いや、ほんと、求められたからって脱がなくていいよ!! どうかあふれ出る母性を他者ではなく自分自身に向けてほしいと願います。

GINGER(ジンジャー) 2017年 11 月号 [雑誌]
みな実が手ブラやりたくてやったならいいんだけどね!
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