ビューティーアドバイザー座談会(前編)

現役BAが暴露! クレーマー、常連太客……華やかな化粧品売り場の過酷な実情

2017/10/09 17:00
cosmezadankai1
Photo by pumpkincat210 from Flickr

 デパートの1階にあるコスメカウンター。そこに待ち構えるのは、キラキラしたビューティーアドバイザー(BA)たち。バッチリメイクで立ち仕事は、いかにも疲れそうで、加えて女の園ゆえ、人間関係も難しいのでは……? ということで、都内の百貨店に勤めるBAさん3人に集まっていただき、座談会を開催。華やかな化粧品売り場の裏側に迫った。

<参加者プロフィール>
ファイト:33歳、BA歴8年。都内大手百貨店A勤務。他2名の参加者とは、前の店舗で一緒だった。客を引き寄せるトーク力に定評あり。
ヤスコ:32歳、BA歴5年。都内老舗百貨店B勤務。嫌いな客のタイプは、せっかちな人。
オン眉:31歳、BA歴6年。都内老舗百貨店B勤務。彼氏いない歴も6年。

■BAに会いたい……恐怖のストーカー

――今日の座談会は、「知られざるBAの裏側」について語っていただければと思います。某ブランドのBAさん、3名にお集まりいただきました。皆さん、都内の百貨店に勤務してらっしゃるということで、かなりいろいろな経験をしてこられたのではないでしょうか?

オン眉 確かに給料が安い割に、やることは多いし、人間関係も含めて、結構ハードかもしれない。私の後輩で、常に辞表を持ち歩いてる子がいますよ。

――えっ! いつでも辞められるようにということですか?

オン眉 そうそう。いつも愚痴ってる。でも、持ってるだけで、まだ辞めてないですけどね。

――やっぱり、ストレスのたまる仕事なんですね。 

ファイト たまるたまる。前にうちの百貨店に変質者が来て、大声で「死ぬ! オレはもう死ぬ!」って言いだしたんです。それ聞いた先輩が、「こっちが死にてぇよ!」ってつぶやいてるのが印象的だった。「叫んでる変質者がうらやましい」って……。その先輩はまだどこかの店で、ストレスと戦いながら続けてるはず。

――なんか、初っぱなからすごい話題ですね。具体的には、どんなことでストレスがたまるんですか?

ファイト 接客業だから、変な客は来ます。うちみたいに大型の店舗になると、それこそ平日でも100人くらいの客は来ますからね。私が今までで一番キモかった客は、ストーカー。週3回くらい来てました。

――ええ! そもそもストーカーって、どういうことですか?

ファイト 婚活パーティーで1回だけ会った人なんだけど、どういうわけか気に入られちゃって、連絡先も交換してないのに、仕事先を突き止められたんです。多分、SNSで名前検索されたんだと思う。ヤバイよね。電車の中で視線感じるなと思ったら、真後ろにいたことがありますよ。

――超怖いですね!

ファイト ストーカーネタもいろいろあるけど(笑)、とにかく、そいつが週に3回くらいお店に来るんです。「彼女に頼まれて買いに来ました」とか言うんだけど、嘘バレバレなのね。しかもそのストーカー、頭が回るので、製造中止になったネイルをわざわざ取り寄せするわけ。店まで来て、私が店頭に立ってるのを確認してから、電話してくるの。「頼んでたネイル届いてますか〜?」って。私が店にいるの知ってるから、担当させようとしてるんだよね。

ヤスコ あの時期、やばかったですよね。ファイトさん、めっちゃ狙われてた。

ファイト そうそう。でもヤスコが機転利かせてくれて、「ネイル届いてません」って言ってくれたから、難を逃れた。本当は届いてたんだけど。

オン眉 朝のミーティングのときに、共有事項として全員に周知されましたよね。「ファイトさんのストーカー来るから気をつけて」って。

――でも、お客さんとして来るから、難しいですよね。出入り禁止にできたらいいけど……。

ファイト 実害がないから、出禁は難しいんです。会社もSNSで悪口拡散されるのを恐れてるから、簡単には出禁にさせてくれないと思う。でも、スタッフが皆、優しくて、ストーカーから遠ざけてくれてた。でも結局、気持ち悪いのに耐えられなくて、店を異動させてもらった。だから今は平気。でも、また来るかもしれないって思うと、キモい。

――普通に通報していいくらいのレベルですよね。

国際商業2017年8月号(化粧品・日用品業界 売れない時代の返品削減策)
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