ライター・吉田潮さんインタビュー

「女性なら子どもが好き」という“刷り込み”から自由になるには?

2017/10/05 15:00
yoshidaushio
吉田潮さん

 女友達数人といたら、あどけない子どもが登場。「かわいい~!」と声を上げ、あれやこれやとあやして遊ぶ女性がいる一方、子どもの扱いが苦手、あるいは子ども自体が苦手という女性はどう振る舞えばいいのかわからず、その場の空気に落ち着かなさを感じてしまう。自身も子どもが苦手だというライターの吉田潮さん。8月26日に上梓した『産まないことは「逃げ」ですか?』(KKベストセラーズ)では、女性が抱える子どもを持つこと・持たないことの葛藤や、自身の不妊治療の体験を綴っている。吉田さんに、子どもを持たない女性は世間とどう付き合えばいいのかを聞いた。

■産まないことは自分の人生の決意の表れ

――最近は、「女性なら結婚したら仕事を辞めるべきだ」とか「女性の幸せは専業主婦」といった考え方はだいぶ薄れてきていると思うのですが、著書に書かれていたように、「女性ならば子どもが好き」という世間の刷り込みは、まだ根強く残っている気がします。

吉田潮さん(以下、吉田) これはずっと続くんでしょうね。女性は「産む性」だから「子どもが好き」と思われてしまうのでしょうけど、産んで育てて働けって言われると疲れちゃいますよね。子どもを産むつもりがない人にとって、「子どもが好きじゃない」とは言い出しにくいし、言ってもいいけど、言ったら言ったで説教を食らうこともある。

――自分の中で子どもはいらないと思っている分にはいいけれど、口に出してはいけないような雰囲気がありますね。

吉田 仕方がないと思いつつも、「母性よりもまず先に人権でしょ?」と思っちゃいますよね。少子化なので、産めるのに産まないのはけしからんとか、みんなすぐに主語を国家にしがちです。少子化は深刻な問題なので、言わんとしていることはわかりますが、そうなると殖産興業のような話になってしまいます。人それぞれ事情があるし、産まない決意をしたということは、逃げているわけではなく、自分は自分の人生をこういうふうに生きると決めた決意の表れです。

 男性は「結婚すれば?」とか「子どもを持てば?」とかは言われますが、「子どもは好きじゃないし欲しくない」と言っても、そこまで非難されない。子どもが欲しくない女性はその思いを内に秘めて、子どもの話になるとスーッとフェードアウトする、という癖がついてしまっているのだと思います。「私は産みません、子どもはいりません」とはっきりと言えると、ちょっと気が楽になるんでしょうけど。また、「子どもがいらない」という人同士で結婚することもあります。

――確かにそうですね。

吉田 結局、行き着くところは家族になっても一人ひとりがきちんと自立しているのか、というところだと思うんです。海外だと、パートナーにしなだれかかるようなことはせず、もう少しピンで立っていると思います。でも、日本だと「旦那の稼ぎが少なくてさ……」と文句を言いつつ、夫の収入に依存する人がたくさんいます。病気などで働けない場合は別として、そうやって自分の足で立てないのって不安じゃないのかな? と思います。助け合いは絶対に必要ですが、共依存のような状況は少し違うのではないかなと。

産まないことは「逃げ」ですか?
誰にだって人それぞれの事情があるはず
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