知られざる女子刑務所ライフ19

ポン中だって“白馬の王子”に夢中! 女囚たちの愛読書は「ハーレクイン・ロマンス」

2017/08/27 16:00

女囚の妄想がふくらむ「白馬の王子」

 身内にヤクザが関係していない懲役は、よくも悪くも、もっと「女子らしい」本を読んでます。人気があるのは、やはり「女性セブン」(小学館)や「週刊女性」(主婦と生活社)「女性自身」(光文社)といった女性週刊誌やレディスコミックなどですね。私も獄中で初めてレディコミを読みましたが、エロくてエロくて、おかしな気分になりそうだったので、控えめにしてました。あとは嫁と姑のバトル、実話の怪談「ほんとにあった怖い話」(朝日新聞出版)なんかもみんな好きでした。

 そして、特に人気があったのは、王道ラブロマンスの「ハーレクイン・ロマンス」(ハーパーコリンズ・ジャパン)のシリーズです。『御曹司のプロポーズ』とか『億万長者の花嫁』とか、そういうタイトルの小説で、最近は漫画化もされているようです。

 最初は私も「ポン中のくせに、白馬の王子に憧れるんか!」「そんなもん、私たちは護送車がお迎えやん。腰縄と手錠付きで!」とかバカにしてましたけど、読んでみたら、わりとおもろかったです。さすがロングセラーですよね。興味がある方はお試しください。

 まあ私の場合は『血と骨』(梁石日/幻冬舎)とか『新宿鮫』シリーズ(大沢在昌/光文社)とか『不夜城』(馳星周/KADOKAWA)とかのハードな感じが好きでしたけどね。現実も非現実的な生活のときも、常に気持ちはハードボイルド!! ってことです。

 出所後もちゃんと読書を続けたら、もっと違う人生を歩めたかもしれませんが、もちろん出たら全然読みません。

 せっかくの読書習慣を捨て去るのは、ちょっともったいないですかね。もう少し涼しくなったら、久々に読んでみようかな? ちなみに中で読んだ本で「もういっぺん読みたい本」は、『仁義なき戦い』の著者でもある飯干晃一さんの『天女を背負った極道』です。実際にあった山口組の三代目襲撃事件をモデルにしていて、いい話ではないですが、心にしみました。今は『天女の極道』(祥伝社)に改題されていて、電子書籍でも買えるようです。

中野瑠美(なかの・るみ)
1972年大阪・堺市生まれ。特技は料理。趣味はジェットスキーとゴルフ。『ダウンタウンなう』(フジテレビ系)や『新・情報7daysニュースキャスター』(TBS系)などへの出演でも注目を集める。経営するラウンジ「祭(まつり)

最終更新:2017/08/27 16:00
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