【連載】別れた夫にわが子を会わせる?

夫の人生に何も間違いはなかった。今も彼と娘との関係は友好的【別れた夫にわが子を会わせる?】

2017/07/11 15:00

彼と娘との関係は、今でもずっと友好的

――面会は、どのように行っていますか?

「面会では、いろんなルールを作るじゃないですか。待ち合わせや引き合わせの方法とか、家には上げないとか。だけど、そうした決めごとは、ことごとく破られました。例えば『離婚後、週3日彼、週4日私が面倒を見る』ということを記したんですけど、6日に1回休みというタクシー勤務のシフトに合わせて、休みの日にうちに来るだけなんです。劇団とかの用事があれば来なかったり、逆に運動会とか、ぜひ来たいというときはシフトを調整して来たりしますけどね」

――面会が月に1回2時間とかいう人に、聞かせたい話ですね。ほかには?

「家に来ないというルールも破られましたね。離婚相手を、普通家に上げないでしょ。なのに彼は全然気にしない。今や泊まってますからね。彼が来たら来たで、彼がだらしないから娘が真似して、すごくだらしなくなっちゃう。宿題があるのに、教えたりとかはしなくて、ずっと2人でゲームやってるんです」

――どんなふうに面会するんですか?

「彼が娘と行くところといえば、ファミレスとかコンビニ、あとは公園。彼は食べることに興味がないので、特別なレストランなどには行きません。あと最近は娘が映画にはまっているので、新作映画には必ず連れていってくれます。それは良いことだと思います! あと夫の家族と旅行とか。まあそれで、娘も喜んでるんですけどね。

 彼と娘との関係は、今でもずっと友好的です。彼が来る日、娘は学校から小躍りしながら帰ってきます。娘の友達にも大人気だし、学校もわかってるんで、『お父さん、捨てられちゃったんだよね』って(笑)。彼はほんと大人気。彼が来る日は娘の友達もやってきて、うちがほとんど幼稚園状態です」

――養育費とかは、ちゃんと毎月もらってるんですか?

「今も婚姻費用のまま。離婚届は出したんですよ。だけど間違ってたから、もう1回書きました。『受理されなかったんだけど』って。まるでコントですよ。ちゃんと親権も決めたのに。書類がそろわずにグダグダ。なので、養育費じゃなくて婚姻費用ですね」

――復縁は考えますか?

「ないです。もう彼の面倒を見られないし、人としての魅力を感じないですしね。役者をやってたらまだしも、タクシーの運転手をやっているだけの彼は、なぜタクシーなのか、なぜそれがやりたいのかを話してくれないので、魅力を感じられない。でも彼、それで人生幸せだからすごいよなって、尊敬しますけどね。別に何も悩んでませんし」

――今後は、どうされるんですか? いい相手がいたら、再婚とか考えますか?

「去年、ライターの仕事がらみで婚活サイトを利用したんです。すると、『僕の子はいらない。君の連れ子以外に、僕の子を産んでほしいとかは求めない。ただ、やさしい奥さんに迎えてほしいんだ』という、お金も地位もあり、平穏を求める人ばかり。でも、それじゃ、私と全然合わないですね。私は娘を育てながら、会社も作っちゃったりしてきましたから。再婚相手とは、作ったり、挑戦したり、一緒に何かをしていきたいです。それが仕事でなくても。でも、落ち着きのない私は、結婚に向いていないのでしょうね(苦笑)。あと、私、気が多いんで、また新たなことを始めたくなってしまって。『富士山の方に移住しよう』とか『海外に住もうよ』とかって娘には話すんですけど、反対されるんです」

 今後、岡田さんは旺盛なバイタリティで、母として、一人の人間として人生を切り開いていくに違いない。

西牟田 靖(にしむた やすし)
1970年大阪生まれ。神戸学院大学卒。旅行や近代史、蔵書に事件と守備範囲の広いフリーライター。近年は家族問題をテーマに活動中。著書に『僕の見た「大日本帝国」』『誰も国境を知らない』『日本國から来た日本人』『本で床は抜けるのか』など。最新巻は18人の父親に話を聞いた『わが子に会えない 離婚後に漂流する父親たち』(PHP研究所)。数年前に離婚を経験、わが子と離れて暮らす当事者でもある。

最終更新:2017/08/14 20:55
わが子に会えない 離婚後に漂流する父親たち
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