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『陸海空』『水曜日のダウンタウン』「フジの深夜」テレビ業界人がよく見る番組5本

2017/07/10 11:45

 テレビの地盤沈下が叫ばれて久しいが、裏方として実際にテレビ番組を作っている人間は普段どんな番組を見ているのだろうか。面白いと感じるポイントや、評価する部分はお茶の間と異なるのか? 業界人に聞いてみた。

 まず挙がったのは、目下、テレビ朝日版『世界の果てまでイッテQ!』(日本テレビ系)として話題の番組名。

「『陸海空 こんな時間に地球征服するなんて』(テレビ朝日系)は、ガチで取材してる感じがあって、つい見てしまいますね」(業界関係者)

 これは世界の珍しい部族や不思議スポット、さらには巨大魚など地球のあらゆる謎に立ち向かっているアドベンチャー番組。今年4月のスペシャル放送が日曜午後9時の激戦区で9.9%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)の好視聴率を記録したことから、4月から火曜夜にレギュラー化された。

「目下、その人気をけん引しているのが、アマゾンを取材中の『ナスD』こと、友寄隆英ディレクターです。生魚を丸呑みして地元の部族に怒られたり、『美容に良い』とダマされて、タトゥーの原料となる果物の果汁を塗りたくり、全身の皮膚が真っ黒に変色してしまうなど、同行しているお笑いコンビ・U字工事がかすんでしまうほどの存在感を放っています」(芸能ライター)

 『陸海空』はテレ朝にとって久々のヒット番組。今後に大いに注目だ。続いては、複数人から名が挙がったあのバラエティ番組。

「『水曜日のダウンタウン』(TBS系)です。毒のある番組が好きなので、いつかそんな番組に携われたらいいなあと。勉強になります」(在京キー局AD)
「『水曜日のダウンタウン』は笑えます。企画が攻めてるなあと思います」(制作会社勤務)

 毎回、エキセントリックともいえる企画を連発するこの番組。そのためBPO(放送倫理・番組向上機構)にも苦情が絶えない一方で、2015年7月には「徳川慶喜を生で見たことがある人ギリまだこの世にいる説」で、優れたテレビ番組に与えられる「ギャラクシー賞(7月度月間賞)」という栄誉ある賞も獲得。絶賛と非難の両極端を「W受賞」している稀有な番組だ。

「特に、裏番組で『良かれと思って!』(フジテレビ系)がスタートしたこの4月から、企画のギアが一段上がった気がします。『水曜日のダウンタウン』の常連だった、劇団ひとり、バカリズム、ハライチ・澤部佑、メイプル超合金・カズレーザーがMCを務めてる番組ですけど、『水曜日』は完全に潰しにかかっていますね」(放送作家)

 そのフジテレビこそ、長らくの低迷が続いているが、意外にもある番組の名が挙げられた。

「フジテレビの深夜は、なぜか見ます。特にゲーム番組は数年前からフジの独壇場です。『ヌメロン』『人狼~嘘つきは誰だ?~』『邪鬼王』、つい最近は有吉弘行が深夜3時前からトランプの定番『大富豪』を2時間延々やっていたのも面白かった(『大富豪・有吉』)。フジのゴールデンはまったく興味ありませんが、深夜は意外と侮れません」(番組制作進行)

 いっそのこと、ゴールデンと深夜帯に放送している番組を入れ替えてみるのも一案かもしれない。

 これらのほかに、「タレントの壮絶な人生が面白い」という理由で『しくじり先生 俺みたいになるな!!』(テレビ朝日系)、「真似できないような企画が放送されている」ということで『ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!』(日本テレビ系)、「タレントのキャスティングに役立つ」ということで『踊る!さんま御殿!!』(同)といった番組名も聞こえてきた。

 こうして並べると、視聴者が面白いと思うものや人気番組を、業界人も普通に見ていることがわかる。だが面白い番組をいくら見ていても、自分ではそれを作り出せないのが、歯がゆいところだろう。業界人にはより一層の奮起を求めたいところだ。
(村上春虎)

最終更新:2017/07/10 11:45
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