ノンフィクションライター・杉浦由美子さんは見た!

坂口杏里とタレント医師・脇坂英理子が奪い合ったナンバーワンホストの魅力とは?

2017/04/30 15:00

ホストが「健康的」?

――「健康的」とホストは結びつかないイメージがありますが……。

杉浦 ホストの前職はモデルや美容師などが多いそうですが、Xさんの前職は木工大工です。ホストクラブの情報サイトで、新人ホストが「普通、ナンバーワンのホストは僕らを相手にもしてくれないのに、Xさんは面倒見がいい」とコメントしていましたが、大工さんは後輩の面倒を見ますよね。歌舞伎町にいても、職人気質を捨てなかったんじゃないでしょうか。彼の腕の筋肉もスポーツクラブで人工的に鍛えたものではなく、建築現場の仕事で作り上げていったナチュラルなマッスルでした。

 また、ホストをやっていることを親に隠している人もいますが、Xさんはご両親も息子がナンバーワンホストになったことを心から喜んでいたようです。特にお母さんは元クラブ歌手で、「私の遺伝子のおかげでお前はナンバーワンになれた」と言ったとか。つまり、両親も彼もホストクラブは“エンターテインメント業”と捉えていたんでしょうね。仕事にも前向きで、とにかく明るかったですね。

■都会育ちのお嬢様には見たことない生き物

――なるほど。しかし、坂口も脇坂も超がつくお嬢育ち。そういう女性たちがなぜ、あそこまで彼にハマったんでしょうか?

杉浦 見たことない生き物だったからじゃないですか。小学校から名門私立に通っていた箱入り娘からすると、Xさんみたいな男性は新鮮だったんでしょう。ロックスターみたいなオーラを出しながら、後輩の面倒もみる“気のいい大工さんのあんちゃん”要素もある。都会育ちのお嬢様が地方出身の苦学生に惹かれるってよくあるんですが、そういうパターンだったのかもしれません。

 それがこんな大きな騒動に発展したのは、やはり、彼女たちとXさんとの関係が“お金”の上に成り立っていたからでしょう。Xさんはとっくに一生遊んで暮らせる分を稼いでいるはずなのに、ホストをやり続けるのは、彼にとって歌舞伎町の店のナンバーワンでいることこそが自己実現だからでは。トップクラスのホストは本命の恋人をつくらないんですが、理由のひとつは、客を愛せなくなるからだとか。彼らは自分の自己実現を支えてくれる太い客を本気で愛さないとならないんですから。お金を出せば愛してくれる男性って日常的にまず存在しないでしょう。この世で数少ない“お金を使えば愛してくれる男”を好きになってしまったところに、今回の2人の悲劇はあったのだと思います。
(水野妖子)

最終更新:2017/05/02 19:53
桜蘭高校ホスト部 DVD-BOX
……以上、「私がホストを好きなワケ」でした!
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