【連載】知られざる女子刑務所ライフ10

手紙に描かれた彼氏の手形に手のひらを合わせて……元女囚が考える、ムショに足りないものとは?

2017/04/21 15:00

怖い姐さんも、子どもからの手紙に涙

 外の世界との連絡は、月に数回の手紙と面会だけです。懲役(受刑者)には「第1類」から「第5類」までの「ランク」があって、問題を起こさなければランクを上げてもらえます。たとえば最高ランクである「第1類」の懲役の面会は「毎月7回以上で施設が定める回数」、手紙を書けるのは「毎月10通以上で施設が定める回数」となってますが、そんな人は見たことないですね。無期懲役の人が1人か2人くらい第1類にいたかもですが、たいていは第5類で多くても月4回、4通程度だと思います。外から手紙をもらうのは、何通でも大丈夫なんですが。

 逮捕されるまでは24時間いつでも電話したりメールしたりしていた生活から、一気に「月に何回かの手書き」ですから、めっちゃ不便で寂しいです。シャバでは字を書くことなんかほとんどないから、まず漢字が思い出せないし、日本語もヘンになったりで、それでも一生懸命に便箋に向かっていました。

 そして、書いた内容は細かくチェックされます。犯罪や脱走の連絡をしていないかとか、トラブルの元になりそうなことは書いていないかとかですね。昔は食事に出たミカンの汁搾って、読まれてはまずいことを書いていた人が本当にいてました。「あぶり出し」にして読むんですよ。今はどうかなあ。

 私の場合は、便箋にイラストをたくさん描きましたね。私が中にいた頃は、まだ子どもたちが小さかったので、好きなキャラクターのぬりえを買って便箋に写して、色鉛筆でキレイに色を塗ったりしていました。「よくこのキャラクターの絵本やビデオ見てたなあ」って子どもたちのことを思い出しながら、土曜日と日曜日はイラスト描くのに没頭していましたね。誕生日や入学式・卒業式にも、何も買ってあげられない、何もしてあげられない……そんな気持ちからでした。同囚も同じことしてましたよ。刑務所に行くまで自分を止められなかったことが一番悪いのはわかってるけど、やっぱり母親なんですよ、私も同囚のみんなもね。

 でも、描くのは一苦労でも、返事をもらえると、本当にうれしかったです。みんな待っていましたし、怖い姐さんがハナをすすりながら、子どもからの手紙を読んでいるなんていうのもしょっちゅうでした。

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