[サイジョの本棚]

男もファッションも大好きなフェミニストが、「男らしさ」に苦しむ男性も救う?

――本屋にあまた並ぶ新刊の中から、サイゾーウーマン(サイ女)読者の本棚に入れたい書籍・コミックを紹介します!

■『バッド・フェミニスト』
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 タイトルに「フェミニスト」という単語がついていることで、反射的にこの本を敬遠する人がいるとしたらもったいない。『バッド・フェミニスト』(ロクサーヌ・ゲイ著、野中モモ訳、亜紀書房)は、ポップカルチャーやタレント、ロクサーヌ自身についてのエッセイを通して、米国、ひいては先進国に横たわる“差別”と“文化”の関係を見渡す時評エッセイだ。

 「フェミニスト」という言葉には、「怒りっぽい、セックス嫌いの、男嫌いの、被害者意識でいっぱい」というイメージがついてしまいがちだ。そのイメージが、女性をフェミニズムから遠ざけていることを踏まえつつ、それでもあえて「フェミニスト」を名乗るのは、大学教授で作家でもあるロクサーヌ。ハイチ系黒人女性として生まれた彼女は、「ピンクが大好きで羽目を外すのも好きで、時には女性の扱いがひどいとよーーくわかっている曲に合わせてノリノリで踊ってしまうこともある」と語り、自身を「バッド・フェミニスト」と称する。

 彼女は、フェミニストらしく、ほぼ女性のみによって作られたコメディー映画『ブライズメイズ』が映画史に果たした功績や、ヒット映画『ヘルプ~心がつなぐストーリー~』や『ジャンゴ 繋がれざる者』に存在している性差別と人種差別に切り込む。しかし一方で、『ハンガー・ゲーム』などヤングアダルト(10代向け)作品への偏愛を語り、低俗だけど圧倒的に大衆人気の高いリアリティー番組の楽しみも語る。それらは時にレイプやトラウマを扇情的に扱うような、フェミニズム的に見れば一見不適格な作品だ。けれども彼女自身の10代の時の経験を通して、そういった“バッド”な10代向けのフィクションこそが、読者を救済する効能について理知的に分析する。

 ロクサーヌにとっての「フェミニズム」は、「男と同じになる」とか「男を憎み、セックスを憎み、キャリアに集中し、毛を剃らない」ことではない。彼女は、ドレスや「VOGUE」が好きで、男性もセックスも好きだ。さらに、虫退治や車の修理は苦手だから、パートナーや父親に頼るし、女性を侮辱する言葉を使う小説家やミュージシャンの才能に、心をつかまれることすらある。それでも、女性が「女性だから」という理由で不当な扱いを受ける時には、声を上げるべきであることを強く訴える。

 彼女のコメントを切り貼りして、短絡的に「矛盾している」「女性という立場を盾にとっている」という批判も成り立つだろう。けれども、「女性らしいことが好きだし、完璧に一人で自立できる人はいない」と語る彼女が理想とするフェミニズムは、「女性らしさを強制されず、逆に抑圧もされず、自身をそのまま認めること」という点で一貫している。その考えは、女性はもちろん、突き詰めれば「男らしさ」を強制されてしんどそうな男性たちも救う世界に見える。

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