『うちの娘はAV女優です』著者・アケミンさんインタビュー

AV女優が親公認で働く意味とは? アダルトの仕事をめぐる環境と意識の変化

2017/02/05 15:00

■隠し事をしていないっていうのは、とても健全なこと

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うちの娘はAV女優です』(幻冬舎)

 親から反対されても、周りになんと思われても、私はAV女優として売れたい、ナンバーワンになりたい。そうすることで、親にもこの仕事を認めてもらいたい……本書に出てくる女性たちからは、まっすぐなパワーを感じる。

「今回、登場してもらった女性たちの共通点を挙げるとしたら、プロ意識ですね。私が見てきた印象だと、最初は『なんとなく』AV女優になった女性のほうが、後々にプロ意識が芽生えて大成しています。『人気女優の●●さんみたいになりたいんです!』といって業界に入ってくる例も増えていますが、目標が明確すぎると、現実が少しでもそれとズレてしまったときに自分を全否定して、自滅する傾向にあると思います。いまはその気になれば誰でもAVに出演できる時代ですが、それだけでAV女優になれるわけではない。ひとつの仕事として続けていくのは、簡単なことではありません」

 仕事であれ生き方であれ、「親に認めてもらう」がその人の中でひとつの支えとなることは少なくない。親公認が、AV女優としての活動に影響を与えることはあるのだろうか?

「心のバランスが保たれますね。いつバレるだろうとビクビクしながら仕事をしている女性は、その精神状態が作品にも表れます。不思議なもので、裸の肉体って、そうした心の状態が如実に映し出されるんですよ。隠し事をしていないっていうのは、とても健全なことなんだと、彼女たちを見て思いました」

 親に認められながらAV女優を仕事とする10人の女性たちのエピソードを読むのは、「自分と親」の関係を見直すきっかけにもなる。たとえば筆者が育った家庭では、親の前ではセックスどころか、恋愛についての話題も一切NGだった。プライベートな行為や気持ちについて話す機会がない環境では、なかなか自分をさらけ出せず、また親の人間的な面に触れる機会もまれだった。

 だからといって「恋愛でもセックスでも、なんでも親と話す」「AV女優の仕事を打ち明ける」が正解だというわけではない。それは家庭によって異なる。が、自分の意志でそれを実現している女性と、究極の部分を共有している両親たちのありようが、ひとつの理想的な家族のような気もしてくるのである。
(三浦ゆえ)

最終更新:2017/02/05 15:00
うちの娘はAV女優です (幻冬舎単行本)
自分の親にはどこまで話せる?
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