荒川和久×角田陽一郎「独身大国ニッポンの歩き方」イベントレポート

2035年、日本の人口の半分は独身者に! 「超ソロ社会」でどう生き抜く?

2017/02/02 15:00

■「バリバリ働く女性ほど未婚率が高い」という事実

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「自分の子どもだけよければいいみたいな風潮が強すぎるんじゃないか」と話す荒川さん

 

 トークの序盤では、荒川さんが収集分析した“ソロ社会化”に関係する結婚や離婚に関するデータの数々が紹介された。

 その中で、ソロ社会化する上で問題視されているのが、生涯未婚率(45~49歳と50~54歳の未婚率の平均値から算出したものを50歳時の未婚率とする統計指標)。15年の国勢調査によれば、男性23.4%、女性が14.1%だったが、35年には、男性が3割、女性2割が生涯未婚になると推計されている。過去と比較するグラフでは、1950年には95%結婚していた事実にまず驚かされるが、85年には女性の生涯未婚率がグッと上がる。

「バブルの崩壊という経済的要因も入ってきたりもするんですが、男女雇用機会均等法で、女性の意識が変わった。昔は、専業主婦ばかりだったので、結婚することは死活問題だったんです」(荒川さん)

 つまり、かつての女性は、生活のために結婚せざるを得なかった。しかし、時代が進み、働いて稼げる女性であるほど、経済的に自立する。すると、無理に結婚をする必要がなくなっていく。しかも、女性は自分よりも年収の高い相手を希望する上方婚志向があり、男性も自分より低い年収の女性を求める傾向が顕著なのだ。

■結婚しても、孤独死のリスクはある

 さらに、どうにか結婚できたとしても、離婚が待ち受けているかもしれない。荒川さんが「結婚しても安心できない」と主張する理由のひとつに、「3組に1組が離婚する」という事実がある。厚生労働省の「人口動態統計」によると、「特殊離婚率」(離婚数を婚姻数で割った比率)が、2001年以降35%をキープし続けているのだ。

 離婚率が一番高かったのは、小泉内閣の時。結婚生活は、専業主婦にとっては“経済活動”であるため、景気にもっとも影響されるという。それとは別に、同居期間20年以上の“熟年離婚”も増えており、1947年はたった7%だったが、2016年は30%に上がっている。

 第一生命経済研究所が60代から70代の夫婦を対象に行った調査によれば、男性は90%が「配偶者が頼りになる」と言っているものの、女性は58%。「今と同じ人と結婚したいか?」という質問に「結婚したい」と答えているのは、男性は6割に対し、女性は半分の3割という。夫が円満だと思っていても、妻は見限っているかもしれない。

■不倫問題が待機児童問題につながっている!?

 また、話題は子どもについても及んだ。子どもを持たないと、どこか後ろめたい気持ちを持つ人も多いが、荒川さんは、こう語る。

「結婚をして、自分の子どもを生み育てる集団だけが家族ではないし、それだけが人間としての社会的役割を果たすということではないのでは? 生涯未婚であれ、生涯無子であれ、社会の一員としてしっかり働き、金銭を循環させることで、間接的に子どもをサポートしていければいいはず」

 その話に、角田さんは元水泳選手・岩崎恭子さんの父親の話を取り上げ、「本当の親と一緒に住めない子たちの里親をやっているんですって。自分の子どもを育てるだけじゃない、いろんな子どもを育てる、ということを社会に広めることは、アリなんじゃないかな」と話す。

 それには荒川さんも「アリだと思います。自分の家庭だけ、自分の子どもだけよければいいみたいな風潮が強すぎるんじゃないかな」と応えた。加えて、社会学者が主張している“個人化”について語った。

「よく言われているのは、これからは家族だったり、職場だったり、従来のいわゆる安定した固体的なコミュニティがすべて溶けてなくなり、社会が流動化していきます。それは社会が個人化していくということ。これは世界的な傾向です」

 それを聞いて、角田さんは江戸時代に養子が多かったことについて語り出し、「ある商家がずっと繁栄していて、子どもが生まれなかったら、番頭で一番いい子を養子にして継がせていた。それで経済はしっかり回っていた。芸能人の不倫問題なんかも、実は見かけ以上に複雑で『結婚したら不倫はダメ』とか、結婚という固定観念を検証しないで無理矢理死守しようとしている。それが、待機児童とかあらゆる問題につながっているんじゃないかと思いますよ」と、これまでの固定観念で社会が回っていることに、疑問を呈した。

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