[官能小説レビュー]

男女の秘密は「言えなければ言えない」ほど燃える――三浦しをんの官能表現が“そそる”ワケ

kimihaporaris
『きみはポラリス』(新潮社)

 恋愛の定義というものは人それぞれである。一般的に、1人の人を愛することをそういうのだろうが、不倫や略奪などの禁断の愛など、たとえ正当法とはいえなくとも、当人同士の間には恋愛感情が存在していれば、それは恋愛なのだ。

 『きみはポラリス』(新潮社)は、そんな「普通ではない恋」を綴った11作の短編集である。同性に恋心を寄せる男性が主人公の話や、自分の息子である赤ん坊と妻の行動を不可解に感じ、妻に対して悶々とする夫の話など、まるで今どこかで繰り広げられているような、身近で少し風変わりな恋愛が綴られている。

 中でも注目したいのが『私たちがしたこと』だ。飲食店で働く主人公の朋代は、現在恋人はいないが、店にランチを食べに来る男性が気になっており、高校時代からの友人である美紀子とともに、深夜その男性の話をして盛り上がるような毎日を送っている。

 約1カ月後、美紀子の結婚式のために、2人はウエディングドレスを制作していた。手を動かしながら、片思いする男性の話をしていると、話題はいつしか地元の話へと移る。

 高校を卒業してから6年もたつというのに、美紀子は、高校時代のある日の朋代をずっと気にしていた。その日を境に、朋代は地元に寄り付かなくなり、恋人を作ることを一切しなくなったのである。

 朋代には、秘密があった。

 高校時代、俊介という恋人がいて、ほとんどの時間を彼と共に過ごしていた。お互いに母子家庭、父子家庭で育った2人は、互いの家へ行って共に夕食をとったり、セックスをしたりしていたのだ。

 ある夜、体調を崩した俊介を看病し、彼の自宅を後にした朋代は、見知らぬ何者かに襲われてしまう。茂みの中に押し倒され、男のペニスが朋代にあてがわれた時、男は突然河原に倒れこんだ。そこには、棒を持った俊介が立っていた。俊介は何度も男を棒で殴り、気づくと男は動かなくなってしまう。そして2人は、男を河原に埋め、“共犯者”となったのである。

 秘密を朋代から打ち明けられた美紀子は、俊介を自分の結婚式に来るように誘った。6年ぶりに再会した2人が出した、6年前の恋愛の結論とは――。

 もちろんこの物語のような重大な秘密を持つ関係は、現実にはあり得ないとは思うが、昔の恋愛を振り返ると、2人だけにしか理解し合えない秘密を持っていたという人は少なくないだろう。些細なことだと、2人だけの呼び名で呼び合ってみたり、セックスの時に特定の相手とだけ楽しむプレイがあったりしないだろうか。

 2人だけの秘密は、より強い絆を与え、情熱的に恋を盛り上げるためのスパイスとなる。それは、“決して誰にも話してはいけない”ことほど、より効果的なのだ。そんな“秘密”の数々が散りばめられたこの短編集は、他人の秘密を覗き見しているようで“そそる”1冊となっている。
(いしいのりえ)

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