一ノ瀬文香の「夜のお店で働いてみた」レポート

女だけどニューハーフバーで働いてみたレポート なぜお客さんにバレなかったか?

2016/12/11 19:00
kamasawagi1
いつもより濃いめメイクの一ノ瀬文香です

第5回 ニューハーフバー「朝までカマ騒ぎ」

 女のコ大好き! そして新宿二丁目大好きなタレント、一ノ瀬文香です。

 夜の街には、行ってみるのにちょっと勇気のいる個性的な店もありますよね。そういう店で私が実際に働いて、従業員目線とお客さん目線の両方からレポートします。

 今回レポートする店はニューハーフバー。ニューハーフとは、男性の体で生まれ、女性の格好やメイク、言動をして夜のお店で働く人たちのことを指した職業用語です。私は女性の体で生まれたのでニューハーフではないですが、今回、特別に小田急線・向ヶ丘遊園駅そばのニューハーフバー「朝までカマ騒ぎ」で働けることになりました。

■容姿端麗で親しみやすいトークのキャストたち

 まずアポを取り、面接を兼ねてお店に飲みに行きました。店内は、高級クラブのような雰囲気。黒服の男性に誘導されて席に座ると、すぐに2人のキャストが登場。決してお世辞ではなく、2人ともめちゃくちゃ可愛い! 男性の体で生まれてきたとは思えないほど女性的な見た目である上に、銀座や六本木のクラブで働けそうな洗練されっぷり。あとから一緒に座ってくれた2人も、店内を歩くキャストたちも皆きれいで、ギャル系、アイドル系、モデル系と、さまざまなジャンルのコたちが揃っていました。

 「キャストのレベルが高い」といううわさは聞いていたのですが、正直、そういうコたちは六本木や歌舞伎町のような繁華街に集まると思っていたので、予想以上の容姿にびっくり。隣に座ったキャストに聞いたところ、性転換手術はしていないコも多いけど、ほとんどは女性ホルモンの注射や服薬はしているとのことでした。年齢は23~56歳と幅広い!

 キャストたちは私が面接も兼ねて店に来たことは知らない様子で、普通にお客さんとして接客してくれました。以前、純女(女性の体で生まれた女性)が働くキャバクラに行ったことがあるのですが、基本的に男性のお客さん優先で、女性客に対しては適当な接客をしているキャストに会うこともありました。しかし、このお店で出会ったキャストたちはみな愛想が良く、私が興味を持ちそうなジャンルのトークを探ってくれて、会話で楽しませてくれます。私が「女のコが大好きなんだ!」と言っても動じず、顔を近づけてきて「私たちの誰がタイプ?」と聞いてくれたり、「ホントきれいよねぇ」と私の容姿を褒めてくれたりして、すっかり上機嫌にさせてくれるので、一緒に飲みに行った方から「エロいおっさんみたいな表情になってるー!」と茶化されました(笑)。ちなみにこちらのお店、お客さんの3割が女性で、特に30歳前後の女性が多いそうですよ。

■ほんわかアットホームな雰囲気

 しばらくして、店のオーナーが到着。そう、楽しんでいて忘れるところでしたが、私は面接を兼ねて来たのです! オーナーにご挨拶し、お店で1日働かせてほしいとお願いすると、すぐに快諾していただけました。

 オーナーによると、ここはオープンしてから5年になる店だそう。

「キャストはオープン当時から在籍しているコたちもいて、現在の在籍人数は11人。平日は6人くらい、週末はほぼ全員が出勤しています。お客さんは比較的近くに住んでいる方が多いのですが、繁華街の店にも飲みに行く方たちから、都内に比べて安いのにキャストのクオリティが高いし、何よりあったかい雰囲気がイイと、よく言っていただきます」

 オーナーと相談して働く日を決めると、私のそばにいたキャストが「今度は一緒に働けるのね!」と喜んでくれました。帰り際、見送ってくれた彼女に聞いた、この店に来た理由が印象的でした。

「繁華街のニューハーフ系のお店で働いていたことがあるんだけど……お店同士の付き合いが多くて、働いている私たちも他店のコのバースデーに顔出ししないと、うまくやっていけないの。お店の中でも派閥があったりして、力があるおねえさんに気に入られなきゃとか……そういうギスギスした感じに疲れちゃってここに来てみたの。ここは近くにニューハーフ系のお店がないから、付き合いで他店に顔出さなきゃってこともないし、派閥もないから居心地イイ」

 なるほど。オーナーが話してくれた「あったかい雰囲気」は、キャスト同士がギスギスしていないからなのだろうなと思いました。ギスギスしていると、お客さんも感じるものですよね。

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