セコム広報・寺本美保さんインタビュー

安心できるひとり暮らしとは? 女性の防犯で気をつけるべきポイント

2016/11/08 15:00
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セコム株式会社コーポレート広報部広報課・寺本美保さん

 今年9月、ネットで合鍵を注文し、女子大学生の部屋に侵入した男が逮捕される事件があった。この男は大学生の鍵に刻印された「鍵番号」をメモし、インターネットで合鍵を注文していた。また、女性を尾行し、帰宅直後に襲うという事件も発生している。特に後者は、尾行したまま、一緒にオートロック付きマンションに入っていったという。オートロックでも万全とはいえない、ひとり暮らしの女性の防犯対策について、セキュリティーの専門家であるセコム株式会社コーポレート広報部広報課の寺本美保さんに聞いた。

■怪しいと思ったときは、一緒にエレベーターに乗らない

――先日の合鍵の事件は衝撃的でした。鍵に固有の番号を盗み見た上で、ネットで注文して合鍵を作製したそうですが、こういう犯罪被害を防ぐには、どのようにすればよいのでしょうか?

寺本美保さん(以下、寺本) ピッキング対策ができる鍵はよく知られていると思いますが、鍵にナンバーが刻印されていること自体や、その重要性を知らない方がほとんどだと思います。複製の際、身分証明書が必要だったり、複製が簡単にできない種類の鍵もありますので、そういうものを選んでいただきたいです。

 賃貸住宅の場合、自分で勝手に鍵を交換するのは難しいと思いますので、まずは大家さん、オーナーと相談してみてください。事情によっては、自費で交換することも可能だと思います。

――オートロック付きのマンションでも、油断はできないのですね?

寺本 オートロックの外扉を開けて入るときに、他人を一緒に中に入れてしまうことを「共連れ」といいます。今はご近所の人と顔を合わせる機会も少ないですし、マンションの住人全員を知っているわけではないですよね。その方が住人か、不審者か、判断つきにくいこともあります。ですから、エントランスの鍵を開けて入るときは、周りに不審者がいないことを確認してから、ひとりで入るようにしてください。

 また、エレベーターも、短時間ですが密室になります。知らない誰かと一緒に乗るときは、ボタン付近に、壁側を背にして、全体が見えるような向きで立つようにしてください。ボタンのほうを向いて立つと、後ろが視界に入りません。不安なときは、非常ボタンを押すか、すぐ近くの階のボタンを押して降りるようにしてください。

 怪しいと思ったときは、一緒にエレベーターに乗らず、携帯が鳴ったフリや忘れ物をしたフリをして、「お先にどうぞ」とすればいいのです。

■交番、24時間営業のコンビニやファミレスがあるかをチェック

――働いている女性は、帰りが夜遅くなることも多いかと思いますが、夜道ではどのようなことに気をつけたらよいでしょうか?

寺本 周囲への注意を怠らないことが大切です。音楽を聴いたり、スマホをいじりながらなど、「ながら歩き」はよくありません。

 夜間は人の目・光・音がなくなりやすく、助けを求めにくいので、不審者や犯罪が増えるといわれています。明るくて、人通りのある、安全な道を選びましょう。駅から家までの間に、交番、24時間営業のコンビニやファミレスがあるかをチェックしておき、「怖いな」と思ったときに逃げ込めるところを複数確保しておくとよいです。

 よく、怖さを紛らわすために電話をしたり、スマホを見たりする人がいますが、それよりも身近な危険を察知できるようにしておくことのほうが大事です。振り返りながら歩いたり、防犯ブザーを持ち歩くのも有効です。ブザーは声の代わりになってくれるので、いざというときに役立ちます。

――防犯ブザーは、どのように選んだらよいでしょうか?

寺本 まずは、性能よりも長く持てるもの、自分の好きな色や形で選んでください。持つことに慣れること、持ち続けることが大事です。

 防犯対策は、自分には関係ないとか、お金がかかる、面倒くさいなどと思われがちですが、まずはその意識を変えることが大切です。怖い事件があったら、自分も遭うかもしれない、と思うようにしましょう。

■狙われない家づくりをすることが大切

――女性がひとり暮らしをする上で、注意するべきことはなんでしょうか?

寺本 窓や玄関といった外から見える範囲に、ぬいぐるみなど、住んでいるのが女性とわかるものを置かないことです。カーテンは遮光カーテンなど、なるべくシンプルに。ベランダには、サンダルを置きっぱなしにしない。洗濯物は部屋干ししてください。外に干していると、働いている女性の場合は、その時間、不在だと言っているようなものです。

 また、玄関のドアを開けた範囲で見えるものにも注意が必要です。玄関に女性ものの靴を置きっぱなしにしない。鍵を置かない。先日の事件のように、番号を盗み見られる可能性も出てきます。

 泥棒は下見をします。「うちには高価なものはないから」と思っても、泥棒に入られた部屋に住み続けるのはいやですよね? まずは、狙われない家づくりをすることが大切です。

 郵便ポストや水道・ガス・電気のメーターに見慣れないシールが貼られていたり、暗号のようなものが書かれていたりした場合、下見をされた可能性がありますので、すぐに消しましょう。それを消すことで、気づいていると示すことができます。不安な場合は警察に相談しましょう。ポストには投函物をためないこと。たまっているとズボラだと思われ、狙われます。表札には、かわいらしい字で女性とわかるように下の名前を書かない。フルネームは、もってのほかです。シンプルに名字だけにしましょう。

 泥棒には3種類あり、「空き巣」が約70%と一番多いですが、就寝時に侵入する「忍び込み」と在宅時に侵入する「居空き」も合計で30%を占めています。女性はけがや命の危険のほか、性的な被害を受ける可能性もありますので、ターゲットにされない家を目指しましょう。

セコム株式会社 働く女性の安全委員会

最終更新:2016/11/13 12:51
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