仁科友里の「女のためのテレビ深読み週報」

『しくじり先生』で泣いた高橋ジョージから考える、三船美佳が“離婚を言い渡した”ワケ

2016/11/03 21:00

 番組では、高橋と三船が“おしどり夫婦タレント”としてテレビに出始めたきっかけも紹介された。「ロード」のヒット後、仕事がない時代の高橋は、三船の母親・喜多川美佳のピンチヒッターとして旅番組に出演し、番組中、頼まれてもいないのに、当時妊娠中だった三船のおなかの子に、ハーモニカで「ロード」を吹いて聞かせるなど、サービス精神を発揮する。

 この番組をきっかけに、おしどり夫婦タレントとしてバラエティ番組からオファーが殺到。“夫婦”として出演するということは、高橋だけでなく、三船のバラエティタレントとしての功績も評価されたからだろうが、例によって“上からいく”タイプの高橋は、番組後、三船に反省会を強要していたそうだ。

 高橋は反省会と称していたが、当時の様子を再現して「ちょっと細かいことなんだけど、さっきの違うと思うんだよね」などと言っていたのを見ると、単なるダメ出しではないか。反省会を強要していいのは、タレントを売り出すエキスパートか、バラエティの大御所など、明らかな実力者であって、抱き合わせで番組に出ている人に、その権利があるのか疑問である。

 アメリカに夫婦でロケに行った際、高橋が「盛り上げるために、ひどい冗談」を言い、三船が不機嫌になったこともあるという。その後、「私は本気であなたと離婚したいと思った」と宣告されるが、「俺のブラックジョークに対するジョークかな」と見当違いの理解を見せる。高橋の言ったジョークが何だったかについては言及されなかったが、よほど三船を傷つけたのだろう。三船は娘と犬を連れて、クリスマスに出て行ってしまったそうだ。この経験から、高橋は「精神面では女性にかなわない」「あばれるなら、外で」と女性を“上”に持ち上げていた。

 しかし、ここで思い出したのが、まだ2人がおしどり夫婦枠で出演していたバラエティ番組だ。番組名は失念してしまったが、「夫婦仲がいいというのに、なぜ楽屋が別なのか?」と指摘され、三船が泣きだしたのである。その理由を、三船は「高橋がスタッフにつらく当たるのを見ていられない」と語っていた。妻が泣くほど、周囲に厳しい態度を取る人間が、家庭の中でしおらしくなれるか疑問である。結局高橋は、自分以外は全部“下”に見る人なのではないだろうか。

 高橋は離婚を振り返り、「何でもない“ような”、この3文字こそが幸せの肝」「幸せという輝きは特別なことじゃなくて、ありふれた、ささいな、常に繰り返す日常生活の中にこそあるんだと。今になっては痛いほど実感してます」と語った。220万枚を売り上げた自らのヒット曲「ロード」の歌詞「何でもないような事が 幸せだったと思う」から引用したものだが、23年前の曲の歌詞を知っている人が、どれだけいるだろう。結局、いつも自画自賛。そういうとこじゃないの? 孤独死を恐れる裸の王様に言いたくなる。

仁科友里(にしな・ゆり)
1974年生まれ、フリーライター。2006年、自身のOL体験を元にしたエッセイ『もさ子の女たるもの』(宙出版)でデビュー。現在は、芸能人にまつわるコラムを週刊誌などで執筆中。気になるタレントは小島慶子。著書に『間違いだらけの婚活にサヨナラ!』(主婦と生活社)、最新刊は『確実にモテる 世界一シンプルなホメる技術』(アスペクト)。
ブログ「もさ子の女たるもの

最終更新:2016/11/03 21:00
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