『頭痛女子バイブル』著者インタビュー(後編)

「低気圧は頭痛になりやすい」は本当か? 頭痛専門医が明かす意外な事実!

2016/09/11 21:00

■「天候によって頭痛になりやすい」けれど……

――「頭が痛い」という感覚がない人が存在するとは驚きです。飲酒時に頭痛を覚えたとき、鎮痛薬を飲んでいいものか、酒と薬の併用について悩んでしまうのですが。

五十嵐 一般的に薬とアルコールは一緒に飲まない方がいいのですが、二日酔いのときは鎮痛薬で頭痛が治ることもあります。頭痛が起こると困るからといって飲み会の前に薬を飲むのはお勧めしません。ただ、受験の日など「どうしてもこの日だけは頭痛が起きたら困る」という日は、予防的な使い方も仕方がないですね、とお話しすることはあります。

――私は梅雨から夏にかけて頭痛がひどくなりがちで、気圧と関係があるのではと思っています。気圧から頭痛予測を行うアプリもありますが、気圧と頭痛に関係性はあるのでしょうか。

五十嵐 多くの医師も患者さんも、低気圧(雨が降りやすい)のときに頭痛になりやすいと感じています。このため以前、民間の気象会社との共同研究で片頭痛患者さん100人分の頭痛ダイアリーと気象をチェックしたことがあるのですが、はっきりとした因果関係が出ませんでした。気象から頭痛を予測するアプリも、「すごく当たる!」という方もいれば、それほどでもないという方もいます。というのも、女性の片頭痛は月経に関連することが多いですし、例えば寒い外から暖かい部屋に入ったときというような寒暖の差で頭痛が起こることもあるので、気象だけでははっきりとした相関関係が出せなかったのだと思います。

――私自身、頭痛外来で診察してもらおうと思っても、いざ行って何を話せばいいのか、頭痛があるときに行った方がいいのか、などわからないことばかりで足が遠くなってしまいます。

五十嵐 「頭痛外来は頭が痛いときに行った方がいいのでは」と、思われる方は少なくないのですが、片頭痛の人は頭が痛いときは動けないし、とても受診できませんよね。痛くないときにこそ受診していただいて、そこで頭痛時の状況を話してください。受診なさるときはできれば「頭痛ダイアリー」をつけてそれを医師に見せるといいですね。記録しておかないと人間は忘れてしまいますので。「頭痛が起きた日、時間帯、月経周期、薬を飲んだか、どんな薬か」などを記載しておきましょう。手帳に書いたり、スマホに記録しておくのもいいですが、診察の際は医師に渡せるような形にしておくとより良いですね。

――「どこの病院に行ったらわからない」については、本書の中で全国の頭痛名医リストを紹介されていますね。

五十嵐 月に数回の痛みで、市販の鎮痛薬で治るのなら特に受診する必要はありませんが、頭痛で生活に支障がでていたり、心配なことや疑問があればぜひ頭痛外来を受診してみてください。20代の頃から頭痛に悩んでいた40代の患者さんが、頭痛外来で治療を受けることにより症状が改善し「こんなに楽になるならどうして早く受診しなかったのだろう」とお話されていました。専門医の助言はきっとあなたのお役に立てると思います。
(石徹白未亜)

最終更新:2016/09/12 16:14
『頭痛女子バイブル』
え!? 頭痛を知らないってどんだけ徳を積んだのよ!
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