一ノ瀬文香の「夜のお店で働いてみた」レポート

新宿二丁目の女装バーは女性も入りやすい【一ノ瀬文香の「夜のお店で働いてみた」レポート】

2016/08/03 15:00

■日常生活で縁がなさそうな人とも仲良くなれる

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女だけど女装してみました

 ほかのテーブルに行って片付けをしていたら、数人グループのお客さんの1人からボトルのお酒を勧めてもらいました。「こっちのテーブルも玄人のお客さんばかりか」と思いながら話していたら、グループの中の1人は初めて単独で遊びにきていた人だと判明。ボトルをお店にキープしているお客さんが、その1人で遊びにきた方と仲良くなったようで、途中からグループに混じってお酒を頂いていたのでした。

 このようにお客さん同士がいつの間にか仲良くなって一緒に飲んでいる場合もあれば、ママをはじめ、慣れた従業員が気の合いそうなお客さん同士を紹介してつなぐことによって、仲良くなっている場合もあります。「飲み方の綺麗な玄人客」は威張った感じがなく、ほかのお客さんとの会話も上手に楽しめる方が多いので、そういう玄人客の人と仲良くなって混ぜてもらうのもお店の楽しみ方の1つ!

 お客さんたちの年齢層もセクシュアリティも職業もさまざまなので、普段の職場や生活の中では接する機会がなさそうな人たちとの出会いにあふれているのです。

 これは私がお客さんとして遊びに行って感じていることですが、女装男子たちの中には普段、自分を男子と認識し男子として生活していても、社会から求められる「男らしさ」に疲れている人が多いようです。だから、そういう人は女子から女友達同士のように接してもらえるとうれしいのかもしれません。

 また、普段から自分のことを男子と認識していなくて、心が中性的だったり女性だったりするコもいたり、恋愛や性の対象も人それぞれで、女装男子の中にはLGBTに該当する人たちもいます。そういう女装男子たちの1人1人がどういうコかを知っていくうちに、昨今は聞き慣れてきたであろうLGBTのことも自然と知っていくことができるのです。そして、LGBTフレンドリーという意味の「Ally(アライ)」という存在になることもできます。

■草食系男子が多いので安心して遊べる

 女装男子たちは、美容や女子的なオシャレに関心が高く、中には一般女子以上に詳しく、メイクが上手な女装男子もいます。そういう女装男子たちと美容やオシャレに関する会話をすると盛り上がるし、自分の美意識が向上するのでは?

 「女子を口説くために女装する迷惑な人」はネタになりやすいので目立ちがちですが、そういう人はごく一部。女子が恋愛や性的対象ではないコもいれば、女性経験のない女装男子も多いようです。全体的には草食系男子が多い印象。だから女子はガツガツした男子に遭遇せずに、安心して和やかに遊べると思います。私も安心して楽しく働くことができました。また、SよりもM寄りな女装男子のほうが圧倒的に多いと思われ、S心が強い女子はそういうところも「可愛い!」と思う要素になるでしょう。

 みなさんも一度、ご来店してみてはどうでしょう? もしかしたら私も飲みに行っているかもですし、また働いているかも!?

女の子クラブ
東京都新宿区新宿2-13-16 SENSHOビル4F
03-5357-7875
営業時間 19時〜翌5時
年中無休
チャージは女性と女装が2,000円。男性は3,000円。ドリンクは1杯500円~

一ノ瀬文香(いちのせあやか)
よしもとクリエイティブ・エージェンシー所属タレント。コメンテーター、アクション女優。お酒は弱いのに飲み屋が大好き。特に新宿二丁目や三丁目、ゴールデン街あたりに16年以上前からよく出没している。六本木の高級クラブFの元ホステス(5年間)で、二丁目のミックスバーで雇われママをしていたことも。現在も二丁目のミックスバー“プチ!NATURAL“のプロデュースをしていたりと、水商売のプロでもある。2009年に週刊誌でレズビアンをカミングアウトし、2015年にはミュージカル女優と挙式している。プロフィール

最終更新:2019/05/21 16:49
女装と日本人 (講談社現代新書)
女装にもいろんな形がある
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