【連載】永田町の「謎」 現役議員秘書がぶっちゃける国会ウラ情報5

永田町には、おしゃれな人なんていない 議員秘書と事務員の違いとは?

2016/06/20 15:00
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Photo by HeelsandFeet from Flickr

 国会議員秘書歴20年の神澤志万と申します。セクハラ、パワハラ当たり前! 映画もテレビドラマもかなわないリアルな国会とその周辺について、現役議員秘書が暴露します。

■アポイントを取るために貢ぎ物

 議員秘書の仕事は、国会での質問の草案作成から会議の食事の手配までホントにいろいろあるのですが、中でも重要なのがスケジュール管理です。

 事務所には、所属会派や友好会派のパーティー、地元のイベント(成人式や運動会ですね)、さらにはメディアの取材のオファーと、とにかくたくさんのご案内をいただきます。これらを「議員本人が対応」「秘書が代理を務める」「失礼ながら欠席」に分類し、移動時間などの効率を考えてスケジューリングするのです。優先順位は秘書が決めて、ボスである議員に確認しますが、優先順位の判断は長年の経験に基づくインスピレーションです(笑)。

 でも、とにかくたくさんあるので、たまに優先順位を間違えて、廊下まで響く大声で叱られている秘書さんがいます。時に、議員生命を脅かすような間違いにつながる恐れもあるほど重要なのが、スケジュール管理なのです。

 永田町訪問に慣れている陳情者の中には、このスケジュール管理をしている秘書に対して「貢ぎ物」(!)をし、アポイントを獲得している「つわもの」までいるんですよ。

 実は、国会会期中のアポイント調整は非常に難しいのです。前日まで開催時間がはっきりしない本会議、各委員会も少なくありません。これらの時間を見越して調整するので、そういう時は「貢ぎ物いっぱいの人」から、つい優先してしまうのかもしれませんね。

 この「貢ぎ物」の内容も面白いですよ。地元の特産品から、ビール券に商品券、図書カードにカタログギフトなどなど。景気の良かった頃には、高級ブランドのバッグを持ってきたり、さらには秘書の家族構成を聞き出して、パック旅行をプレゼントする人までいたくらいです。

 つい事務所の窓口で「どうぞ」と言われると、「わあ、ありがとうございます」となってしまう女性スタッフが多いのが現状なのですが……。厳密には違法ではないと思いますが、まあ程度問題ですね。

 とはいえ議員に内緒で受け取っていた女性秘書が、解雇されてしまった例も知っています。その秘書は、なんと土日返上で働く同じ事務所の地元秘書に「議員会館の秘書はいいわよ~~。ビール券や商品券を、もらいたい放題なんだから」と自慢したことから問題が発覚したというアホな顛末でした。

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