[女性誌速攻レビュー]「BAILA」5月号

きゅうり刻むだけで「仕事力アップ」!? サンドイッチレシピにあふれる「BAILA」の自意識

2016/05/07 17:00

■意地でも言う、「飽きてねえし!!」

 次に気になるのが「黒・紺・グレーに飽きてきた~と思ったら!簡単6ステップで“色リハビリ”始めます!」という企画。色リハビリ……。「BAILA」的には地雷としか思えません。そもそも「BAILA」は、1年の大半「黒・紺・グレーさえ着ておけば間違いないよ」というスタンスのくせに、たまに思い出したように「ほかの色も着なきゃだめだよ」と弾けようとするんですよね。これまで散々「紺さえ着ておけば間違いない」と言ってきた「BAILA」にそう言われると、意地でも「飽きてないし」と言いたくなってきます。

 とはいえ、「BAILA」信仰者でなくとも、冬の間にすっかりクローゼットがモノトーン化した人が多いのは事実。あわーく期待して、早速中身を見てみましょう。真っ先に目に飛び込んでくるのは、「カーキ」の文字。春らしいキレイな色を紹介されるのかと思いきや、意表をつくチョイスです。「BAILA」的には春の新定番色かもしれませんが、少なくとも黒や紺と一緒にカーキを合わせてたら、完全に冬カラ―。元の木阿弥。今年のトレンド・サファリシャツの流れを汲んでいるものの、いつもと変わり映えのしない「BAILA」の地味平常運転コーデにページをめくる手が鈍くなります。

 ステップ2の「ベーストーンを上げて」みる方法も、いきなり感満点。「黒・紺・グレーに飽きてきた→明るい色の服を買う」って、「BAILA」に言われなくても日本人なら誰でも知ってる解決法なので、まずベースカラー黒・紺に対して差し色で何かしらの勝負をしてほしかったです。とまあ、“リハビリ”は全部で6段階あるのですが、リハビリが終わる頃には、春物を一式まるっと新調してしまっている、という寸法に。出費半端ないわ!! そんな解決策、できるものならおそらくほとんどの人がとっくにやっていることでしょう。別冊付録で無駄遣いを牽制しておきながら、熱い手のひら返しです。

■週7日食パンに漂う貧乏の香り

 最後は「食いしん坊ジャーナル 7days食パン」をご紹介します。なんでも最近は「わざわざ買いに行きたいお出かけパン」から原点回帰して「なんてことない食パン」のアレンジが注目されつつあるのだとか。恥ずかしながら筆者は「お出かけパン」という呼称を初めて知りました。この「わざわざ買いに行く」というのが、具体的にどこらへんのラインを指すのか気になるところです。筆者的には「ヴィ・ド・フランス」「サンジェルマン」あたりがボーダーと睨んでおりますが……。

 それはさておき、今回のテーマ「食パン」。こだわらなければ非常に低コストな点も、「お金はなくとも高見えしたい」バイラーズにはうれしいポイントでしょう。掲載されている月曜日のメニュー「キューカンバーサンドイッチ」なんて名前はシャレてますが、具は実質キュウリだけですからね。「きゅうりを正しく刻む。仕事もきちんとこなせそう」なんて、ただのキュウリスライスですら仕事につなげてしまう辺り、バイラーズの意識の高さが伺えます。せめてもの抵抗と言わんばかりに、パンに塗っているのはサワークリームでしたが。

 しかし水曜日になると、ピーナッツバターにジャム塗っただけのサンドイッチが登場し、「7days食パン」に疲労が目立ちだします。しかも写真がなんだかボリューミー。よく見ると写真の下に「食パン(6枚切り2枚)」の文字が! 一般的なサンドイッチスライスや8枚切りに比べて随分分厚い&ど迫力。実際、同じページで紹介しているほかのサンドイッチは全て8枚切りなのに……。朝からピーナッツバターにジャムを塗りたくった6枚切りの食パン2枚なんて、ストレス食いするOLの姿が目に浮かびます。「どうしてドカ食いする前に、キューカンバーサンドにハムを挟んでおかなかったの?」と言いたい。

 ということで、貯金はたまらないわ、ファッションコーデは最近マンネリだわ、食生活は糖分過多だわで、全体的にどこか疲れた印象が拭えない「BAILA」。4月から新しい環境で気を張ってきた方にとっては、やはり徐々に疲れが蓄積してくる頃なのではないでしょうか。サンドイッチの耳がスパッと切れないのも案外ストレスがたまるものです。ここはいったん「7days食パン」をお休みして、ゴールデンウィークくらい、実家に帰って栄養価の高い食事をとってはいかがでしょう。
(ルイーズ真梨子)

最終更新:2016/05/07 17:00
『BAILA(バイラ)2016年05月号 [雑誌]』
分厚い食パンにピーナッツバターべた塗りって、ブス飯だからね
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