「CrowdWorks Adventure2016」イベントレポート(2)

女性の活躍に本当に必要なこととは? 大手企業の取り組みと働き方の変化

2016/04/24 17:00

 女性が活躍できる社会の推進や長時間労働の是正など、近年の労働市場はめまぐるしく変化している。それにともない、さまざまな企業で働き方をめぐる変革が進んでいるようだ。3月18日に開催された「クラウドワークス」主催のイベント「CrowdWorks Adventure2016」の後半では、大手有名企業で女性活躍推進に従事する4名が登壇。自社で実施している働き方にまつわる取り組みや、自身の体験などが語られた。そのハイライトをレポートする。

【登壇者】
・Google ブランドマーケティングマネージャー 兼 Women Will プロジェクト 山本裕介氏
・リクルートマーケティングパートナーズ ワークスタイル変革PJT リーダー 岡理恵子氏
・日本郵便 女性活躍室 室長 一木美穂氏
・アクセンチュア 戦略コンサルティング本部シニアマネージャー 植野蘭子氏
・クラウドワークス 執行役員 経営企画担当 田中優子氏(モデレーター)

■Googleとリクルートは在宅勤務がしやすい環境

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Google・山本裕介氏

 まず最近テレビCMも放送されている、Googleの「Women Will プロジェクト」について、山本裕介氏から説明があった。

 山本氏によると、同プロジェクトは「Women Will」というサイトで、個人や企業から働き方についてのアイデアを集め、趣旨に賛同してもらえる企業にそのアイデアを実践してもらうというかたちで、マッチングを行うというもの。1年間で約5,000のアイデアが集まり、サポート企業は700社に上るという。

 一番人気があるのは、「在宅勤務が普通にできる社会」についてのアイデアだそう。クラウドワークスも含めて100社以上が実践や応援をしているとのことで、世の中のニーズが高いようだ。

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リクルートマーケティングパートナーズ・岡理恵子氏

 岡理恵子氏が勤めるリクルートマーケティングパートナーズは、リモートワーク(オフィスにとらわれない働き方)を全社で本格導入している。その背景について、岡氏は次の3つを挙げた。

 同社は比較的女性が多かったため、育児中の女性社員も増えてきたこと。また、営業が中心の会社であることから、そもそもリモートワークのような働き方が効率を上げることはわかっていたが、会社に出社するのが前提で、直行直帰は申請して運用していたこと。さらに近年の動きとして、アプリ開発を社内でやっているため、場所にとらわれる必要がないエンジニアの社員も増えてきたこと。以上のような、いろいろな要素が混じり合って、「機が熟したタイミングだった」という。

 実際に導入後の社員の反応や課題について、岡氏は次のように語る。

「最初は『自分は関係ない、必要ない』ですとか、『マネジャーとして、リモートワークをするメンバーをどうマネジメントしていいかわからない』という懸念はたくさんありました。ただ、本格導入する前に半年以上かけてケーススタディーをやっていたので、導入後は落ち着いていて、実は懸念していたようなことは起こりませんでした。現状は非常に満足度高く運用しているようです」

 一方、Googleでのリモートワークについて、山本氏は次のように述べた。

「やはり業績やパフォーマンスをベースに評価する社内カルチャーがありますので、どこで働いてるかということも関係ないですね。僕自身も、朝どうしても子どものために家にいなきゃいけない時があるので、そういう時は子どもを抱いてパソコンでテレビ会議しています」

 山本氏は、在宅勤務が可能かどうかは、会社単位ではなく社会が認めることがポイントだと指摘する。

「自分の会社に在宅勤務ができる状態はあっても、なんとなく周りはやっていないからとか、なんとなく効率が落ちるんじゃないかとか、現場に行ってプレゼンしないと通らないんじゃないかという意識の問題があるので、(社会に浸透していない)というのが大きなネックの1つになってるんじゃないかなと思いますね」

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クラウドワークス・田中優子氏

 しかし、全ての企業においてリモートワークが導入されるまでの道のりは長いだろうと指摘するのは、クラウドワークスの田中優子氏だ。

「リモートワークによって、女性が活躍するチャンスが増えることは間違いないのですが、全ての企業が採用できるようになるには、解決すべき課題も多く、まだまだ時間がかかりそうです。もちろん国がやること、企業が推進すべきではありますが、実現を待っていたら5年も10年もかかってしまうでしょう。そうした変革を待たずに、今現在自らの手によって選びとれる方法の1つとしてクラウドソーシングがあると考えています。安定的な雇用ではないものの、パソコンさえあれば、今すぐ誰でも始められるという点において女性活躍の舞台としても適しているのではないでしょうか」

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