山王クリニック・山王直子院長インタビュー

脳梗塞になる可能性が2倍に! 頭痛専門医が教える、片頭痛との正しい付き合い方

2016/04/15 15:00

■自分の頭痛が起こる誘発因子を見つける

――片頭痛を治すにはどういったことに気をつけるべきなのでしょうか。

山王 片頭痛は我慢するのではなく、なるべく頭痛を起こさないような生活習慣を身につけることが大切です。今は予防薬もあるので、それを飲んでいただくことで血管の拡張と炎症が起こる頻度を抑えることもできます。

 ですが、大切なのは自分の頭痛が起こる誘発因子を見つけていくことです。月経以外にもストレスを感じている時、ストレスから開放された時に強く頭痛を感じる方もいます。あとは寝不足などもありますね。寝不足だとやはり脳が敏感になってしまうのです。一方で、寝過ぎも頭に二酸化炭素が蓄積され、血管が拡張するので片頭痛を誘発します。

 そういった自分の片頭痛を誘発しているものが何かを明らかにするために、当院では「頭痛ダイアリー」に頭痛の記録をつけていただくことで、自分の頭痛を見直すということもしています。

――生活習慣を見直すだけで頭痛が減ることもあるのですか?

山王 あります。例えば今の若い方たちは、スマホのやりすぎで頭痛になることが多いんですよ。長時間うつむきがちで首に負担がかかるし、光刺激で脳が敏感になって頭痛を誘発しやすいんですね。他にもテレビとかゲームとか、液晶画面や人工的な光刺激は脳に悪影響を及ぼします。ですから、そういった電子機器を眺めすぎないよう気をつけることでも頭痛は減ります。

 あとは、食べ物も関係しています。チョコレート、赤ワイン、ハム、チーズ、ソーセージ類などの加工食品、化学調味料は片頭痛を悪化させてしまうので避けたほうが良いでしょう。赤ワインに含まれるポリフェノールなどは血管を拡張させる作用があるので、脳の血管を炎症させてしまいます。

 他にも、眩しいところや匂いのきついところに行くと頭痛がする方など、さまざまな場合があるので、ご自身でそういった誘発因子を見つけて、避ける生活習慣を身につけることが大切です。

■片頭痛と緊張型頭痛では対処法がまったく逆

――ストレッチやマッサージも効きますか?

山王 体の凝り自体が体にストレスとなって片頭痛の原因になることがあるので、肩こり体操や、腕を回したり、肩甲骨を寄せるなどのストレッチは効果があります。

 ただ、凝りが原因で起こる頭痛を「緊張型頭痛」と言うのですが、片頭痛と緊張型頭痛では対処法がまったく逆になっています。基本的に緊張型頭痛の場合は温めて凝りをほぐすことが大切で、片頭痛の場合は頭を冷やして、できるだけ安静にすることが大切なんです。片頭痛の人が、緊張型頭痛だと思ってマッサージに行ってしまうと、暖かい部屋で処置をするため、その時は気持ちいいと感じても、血管が拡張してかえって痛みがひどくなることもあります。ここはきちんとした見極めが必要になりますね。

 やっかいなことに片頭痛、緊張型頭痛の両方を持っている方も多いんです。その場合、生理前は間違いなく片頭痛なので片頭痛に合わせた行動をとるべきです。ほかにも日常生活に支障が出るほどの痛みで、吐き気や光過敏、臭い過敏を伴えば片頭痛の可能性が高いので、その場合は専門の病院で治療をするほうが良いです。
(田村はるか)

山王直子(さんのう・なおこ)
山王クリニック院長。専門分野として下垂体・内分泌疾患の臨床、頭痛診療を扱っている。横浜市立大学医学部卒業後、研修を経て米国メイヨークリニックに留学。脳下垂体の研究にて博士号を取得する。山王クリニックのほか、2016年4月からは帝京大学医学部附属新宿クリニックにて火曜の午後、頭痛外来を受け持っている。
山王クリニック

最終更新:2016/04/15 15:00
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