お金だけが目的じゃない

普通の主婦が風俗嬢になる理由 「主婦デリヘル」の実態

2016/03/05 16:00
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Photo by Charlotte Marillet from Flickr

 主婦が風俗で働く、と聞くと、やはり第一の目的はお金だろう、と思うかもしれないが、単純にそうとは言い切れないところもあるようだ。普通の主婦が風俗に足を踏み入れるきっかけ、やっていてどのようなメリット・デメリットがあるか――など、20~40代の主婦デリヘル(デリバリーヘルス)嬢10人に取材した。回答者の内訳は、20代3人、30代5人、40代2人である。うち子どもがいるのは7人だった。

■収入は月8~36万円程度

 まず、普通の主婦が風俗に足を踏み入れるきっかけとは、一体何だろうか? 多くは、「子どもの教育費」(29歳/子ども5歳男)、「夫の失業」(25歳/子どもなし)、「母子家庭」(21歳/4歳男)、「離婚したくて」(48歳/18歳女)など、生活費のために始めたというのが、その理由だ。しかし、同じお金のためでも、「自分のギャンブルの借金」(33歳/5歳女)、「近所の主婦たちとの付き合いで、見栄を張るためにお金が必要」(33歳/なし)、「ホストにはまって」(37歳/9歳女)といった、趣味や個人的な贅沢のためという人もいた。

 実際、風俗で働くメリットとして、8人が「短時間で、まとまった金が稼げる」と回答しており、家計を助ける主婦は、いまやファミレスのウェイトレスやスーパーのレジ打ちなどのパートで、扶養の範囲内で稼ぐ、という時代ではなくなりつつあるようだ。

 では、どのくらいの時間で、いくらくらい稼げるものなのだろうか? 回答によると、週2~4日(午前~夕方)勤務で、月8~36万円程度と幅がある。しかし、時給1,000円のパートなら、フルタイムで1カ月働いて約18万円という数字と比較すると、いかに短時間で効率が良いかがわかるだろう。

 「いつまで続けるのか」という質問に対しては、ほとんどが「生活費・教育費がある程度がたまったら」、あるいは「借金を返せたら」と答えているものの、3人は「お金が良いのでバレても続ける」と答えている。いつでもやめられる、と思っても、一度甘い汁を吸ってしまうと、なかなかやめられないものなのかもしれない。

■セックスとお金で一石二鳥

 風俗といっても、さまざまなジャンルがある。店舗を構えるソープランドや風俗エステなどではなく、ホテル等に出張して性的サービスを行うデリヘルを選んだ理由(複数回答)は、半数が「自分で出勤日を決められるので、肉体的にも精神的にも気楽」、次いで4人が「店に出ている写真は修整しているので、顔バレしない」と答えている。

 一方、お金が第一の目的ではなく、「夫が浮気している腹いせ」(41歳/14歳と12歳男)、「暇つぶし」(36歳/なし)といったセックス目的の人もいる。彼女たちは、風俗で働くメリットとして、「たまにタイプのお客さんが来る」と答えているのだ。

 中には、店を通さないで本番オプション(1万円)をつけているという人も2人おり、性欲を満たすと同時にお金も稼げて、一石二鳥というわけだ。

■妊娠してしまうリスクも

 しかし、風俗には負の面もある。全員が「痛客(不潔・ストーカーチックな客)が来る」ことをデメリットとして挙げている。

 彼女たちは、仕事用のスマホを別に持ったり、自宅や夫の勤務先、子どもの学区から離れた店を選んだり、バレないような気遣いをしつつも、主婦友にホテルに入るところを見られたとか、子どもの友人が客として来たといった、“バレ問題”が常につきまとうようだ。バレなかったものの「旦那の仕事関係で一度顔を見たことある人が来た」(38歳/12歳女)という危ういケースもある。

 それだけではない。「夫や子どもの扱いが雑になった」「不眠症になった」など、家庭や自身の健康面への悪影響も出ている。さらに本番オプションをつけている2人は、なんと過去に妊娠してしまった経験があるという。

 家庭では以前と変わらずに家事をこなし、周囲にはバレないように気遣うなど、さまざまなリスクを負いながらも、風俗で働き続けることで得られるものは、彼女たちにとって、一体どれだけ大きいものなのだろうか。

最終更新:2016/03/08 13:45
日本の風俗嬢 (新潮新書 581)
風俗好きの芸能人も確かにいるけど……
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