[女性誌速攻レビュー]「CLASSY.」3月号

ファッションネタ枯渇の「CLASSY.」が、“ミニマリストと猫の関係”を語り始める大暴走!

2016/02/13 17:00

 次ページは「猫に学ぶ上手な生き方」。「人付き合い編」「恋愛編」「仕事編」に分けて、コミュニケーション術を伝授しています。気になる「恋愛編」では、「きりっとした意思の強そうな見た目と、しなやかで柔らかい雰囲気を併せ持ってる人は素敵」(メーカー・27歳)、「やたらと懐いてくる犬系よりも、あまり踏み込んでこないミステリアスな女の子が好き」(マスコミ・36歳)、「気ままな感じで行動が読めず、こちらの思い通りにならないところがいい!」(経営者・31歳)、「普段は自由なのに、たまに甘えてくるツンデレ感がたまりません」(IT・28歳)など、「僕たち猫系女子が好き!」なコメントが並びます。

 派手なニットやワンピを捨て、なにもない真っ白な部屋で猫と気ままに暮らし、自分の気が向いたときに、男たちと遊ぶ……もうそこにこれまでの「CLASSY.」を支えてきた「なにがなんでもエエ男と結婚してやる」という気概は影も形もありません。「自分と対峙して、本当に必要なものは何かを知る」ということ自体、物欲の海を漂いながら結婚という幸せの島にたどり着くことを夢見る「CLASSY.」とは、まったく相容れないもの。こなれブームから、ミニマリストへ。「CLASSY.」はどこ行っちゃうの……?

■雑な恋愛テクニックを紹介させたら、「CLASSY.」にかなうものナシ

 そんな失われた「CLASSY.」イズムを探してページを彷徨っていると、こんな企画を発見しました。「DaiGoが伝授! 男心を操る4ステップ理論」。こちら“あなたの心お見通し”マンこと、メンタリストのDaiGoが「服と仕草で出会いからプロポーズまで一気に持ち込む」手練手管を伝授してくれるそうです。そうそう、この手の「ホットケーキミックスでなんでも作っちゃいます」的なお手軽感、待ってましたよ。

 「出会い」「初デート」「お付き合い」「プロポーズ」と4ステップに分けて、どんな服のどんな仕草が彼をグッとさせるかを指南しています。「彼の本能に響いてしまう赤ニットで熱いまなざしを独り占め」する「出会い」編は、「二の腕を軽くタッチすれば次の約束がしやすい関係に」「彼の持ち物の質の高さ、貴重さを褒めて男ゴコロを刺激」と、本能に響かせたり、心を刺激したりもう大変です。なんでも「赤い服を着ている女性に男性は平均で20cm近づくという研究結果もある」のだそう。赤い服の女があなたの二の腕に軽くタッチしながら、「その時計、ステキですね」と囁く……なんて稲川淳二先生がネタにしそうです。

 赤い服で出会いを掴んだら、「コミュニケーションが活性化するイエローの力に頼って」。ただし、そこには一つ重要なお約束があります。「デートがどんなに盛り上がっても、終電までに必ず帰ること。男性は手に入らないものに価値を見出します」。そしてその後には「『またゆっくり話そうね』というようなLINEを。決してつまらなくて帰ったのではないことをアピールするのが大切です」。そういうめんどくささが、女を結婚から遠ざけるんちゃうんかい!!

 デートを重ねてもなかなか本格的なお付き合いに発展しないときは、白い服で「彼の袖をちょんとつまんで『告白してね』の合図を出して」、プロポーズがほしいときは淡いピンクニットで「彼とこれまでの思い出を語り合って結婚の素晴らしさをアピール」……などなど。DaiGo監修メソッドを総合しますと、「簡単には手に入らない女」を演出しながら、親しみやすさや安心感も与えつつ、時には「うかうかしていると、どこかに行ってしまうよ」という態度をとる。総合すると「情緒不安定な女」という結果になりました。

 袖をちょんとつまんだり二の腕にタッチしたりでなんとかなるものなら、とっくになんとかなってると思うのですが、もしやDaiGoの恋愛観が「ハンカチ落とせば恋が始まる」昭和の時代で止まってしまっているのか。モテテクを模索するのは楽しいけど、実は「結婚」自体にだんだん興味が薄れている……そんな印象を昨今の「CLASSY.」からは強く感じてしまうのでした。
(西澤千央)

最終更新:2016/02/13 17:00
CLASSY.(クラッシィ) 2016年 03 月号 [雑誌]
「CLASSY.」さんのいっちょ噛み具合、一時期の矢口真理より上!
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