角川慶子の「シロウトで保育園作りました」第105回

事業を拡大しても「味の落ちたラーメン屋」にはなりたくない! 保育園とシッター業の両立は多難

2016/02/06 17:00
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収録に連れてきて、いい子だった娘へのギャラは、『妖怪ウオッチ』のレアメダルです。日本橋も大変気に入った模様(笑)

 最近は、4月から稼働するベビーシッター派遣事業「森のナーサリー」の求人対応や、ベビーシッターを導入してくれそうなホテルへのプレゼンなど、普段の「駒沢の森こども園」の経営ではしないことばかりやっています。

 保育園では、2月1日から29年度入園のキャンセル待ちの受け付けが始まり、ありがたいことに朝早くから電話があり、午前中はずっと電話対応でした(ガラケーに転送だけど)。第六感で気になる人には、「就業は?」「お住まいは?」など質問しています。回答自体は重視していませんが、声から伝わる保護者の人間性を霊視したり、話しやすい雰囲気を作って「なぜ入園させたいか」を聞いたりできればと思っています。

 経営者としては、認可保育所待機の受け皿として申し込む人よりも、「どうしてもここに入れたい」「保育方針に賛同」といった人に入園してもらいたいですよね。キャンセル待ちなので、実際入園できる人の数は限られているので、厳選したいです。というのも、お受験する子の場合、駒沢の森こども園は、空いた時間にお勉強ができますが、入園できずにほかの園に行ってしまったら、1日の大半を保育園で過ごすにもかかわらず、お受験フォローは一切ないわけで、そりゃ、合否にも影響が出てくる。なので、「どうしても入園したい子」を入れてあげたいのです。だから先着順ではありません。うちの母親は、「近くにもう1つ園(駒沢の森東園・西園みたいなイメージ)を作ってあげなさいよ!」と言いますが、私の体は1つしかありません……。

 見学対応をしててよく聞くのが、「角川さんのコラムが大好きで」「角川さんならわかってくれると思うのですが」といったフレーズ。逆にいえば、もし私が見学対応をしなかったら入園しなかったのかな? とも思ってしまいます。ちゃんと対応できる人間を育てていかないと、会社が大きくなっていかないのはよくよくわかっているので悩みますね。これは大きな課題です。

■まだ現場を離れられない!

 たとえが悪いですが、私が大好きだった「せたが屋」というラーメン屋があるのですが、人気がどんどん出て、テレビや雑誌でも「カリスマラーメン店主 前島司さん」と取り上げられるようになり、彼がプロデュースする店も増え、いつからか厨房に前島さんの姿がなくなりました。厨房に立つ前島さんの姿はテレビでしか見られなくなり、気づくとラーメンの味が変わって、悲しい気分になったことがあります。ほかの店のプロデュースより、本店の味をチェックしてほしいというのが本音ですが、前島さんの収入は現在の方が高いのが実情かと推測します。

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