角川慶子の「シロウトで保育園作りました」第100回記念対談(前編)

角川慶子×小阪有花「キャンセル待ち人気園でも2園目を出せない、ビジネスとしての保育園の限界」

2015/11/21 16:00
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 2011年9月にスタートした、角川慶子さんの連載「シロウトで保育園作りました」。角川さんは、愛娘が通っていた保育園の教育方針と合わず、自身の手で「駒沢の森こども園」(東京・目黒区)を開園。食材にこだわった給食や一流の講師を招いたアクティビティ、そしてお受験対策と創意工夫を重ね、「選ばれる認可外保育園」を確立し、キャンセル待ちが出るほどの人気園となりました。

 「駒沢の森こども園」から見えてきた、現代の子育て事情をつづったコラムも今回で100回目。記念すべき回に、角川さんが“今一番話を聞きたい人”として名前を挙げたのは、グラビアアイドルとして活躍したのち、09年に突然の引退でメディアを騒がせた、小阪由佳あらため小阪有花さん。芸能界引退後は、保育園プロデューサーとなり、今年4月には千葉県市原市に「ウィズママ保育園」を開園。設立の提案から立ち上げに携わり、現在も片道2時間をかけて、週3日は園で子どもたちと共に過ごしています。芸能界から保育業界へ異色の転身を果たした2人の対談では、保育の実情から保護者の意識まで、幅広い話題で盛り上がりました。

角川慶子(以下、角川) 私の場合は、自分の娘が通っていた保育園の方針が変わって合わなくなったので、「それなら娘のための保育園を自分で作ろう」と思って始めたのですが、小阪さんは必要に迫られたわけではありませんよね? なぜ保育園を作ろうと思ったんですか?

小阪有花(以下、小阪) 「子どもがいるわけじゃないのに、どうして子どものことを考えるの?」と、初めの頃はよく聞かれました。私はむしろ「子どもがいない人は、子どものことを考えない」という発想の方がおかしいと思うんです。自分たちの老後を助けてくれるのは、いまの子どもたち。その子たちを育てようとしないで、将来自分たちが楽しく過ごせると思ってるのかな、と。そうした思いがベースにあったのと、純粋に子どもが好きということで、芸能界を辞めた後、保育園で保育補助として働いていたんです。ただ、保育・教育の上で、もっとできることはあるはずなのに、現状維持で満足している保育園が意外と多くて。こんな園は嫌だ、自分でやってみたいと思うようになったんです。

角川 それにしても、ハードルが高くなかったですか?なかなか適した物件も見つかりにくいですし。私も2園目……と思っても、なかなか難しい。

小阪 もともと不動産会社が持っている物件があって、「なにかに使わないか」というお話があったんです。その不動産会社には、もとから内見客用の託児施設があって、保育施設に理解があったということ、また社として家を購入した奥さん方が働ける環境を作りたいという理念があったこと、しかも、その奥さん方の中に保育士免許を持っている人が多かったということ。そうした条件が重なって、すごいご縁だな、ここしかないと思って……。

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