吉野一枝先生インタビュー

豆乳を飲むと「生理痛軽減」「ダイエット効果あり」!? ネットのうわさを婦人科医がジャッジ

2015/10/31 17:00
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 水に浸した大豆をすりつぶし、煮詰めた汁をこして作られる“豆乳”。大豆に含まれる栄養素が凝縮されていることから、美容や健康意識の高い人たちの間で注目されています。成分の1つである大豆イソフラボンが“エストロゲン”という女性ホルモンに似た構造を持つことから、「女性の体にいい効果が得られる」というイメージも強く、豆乳を飲むことで「生理痛が和らぐ」「ダイエット効果が得られる」など、真しやかにささやかれるのもよく耳にするのではないでしょうか。そこで今回は、「よしの女性診療所」の医師で産婦人科医・臨床心理士の吉野一枝先生に、豆乳の都市伝説の真偽についてお話を伺いました。

――女性ホルモンの作用を上げるために豆乳を愛飲している女性がいますが、効果はあるのでしょうか?

吉野一枝先生(以下、吉野) 豆乳に含まれるイソフラボンが女性ホルモンに似た働きをするためには、腸内細菌で分解されたときにできる“エクオール”という成分が必要になります。エクオールが女性ホルモン様の働きをするのですが、体内でエクオールを生成できるのは、米国人で27.6%、中国人で54.9%、日本人は50.0%です。つまり、日本人の2人に1人は、豆乳を飲んでも女性ホルモン様の作用を期待できないということ。さらに腸内細菌は体調などで日々変化するので、エクオールを生成できる体質であっても常に100%の状態ではないのです。それにイソフラボンの恩恵を受けられるのは更年期の年代で、若い人にはあまり関係ありませんよ。

――若い人が飲んでも効果がないのですか? 実際に、20~30代の女性も「女性ホルモンの分泌を増やすことで美肌になりたい」と豆乳を飲んでいます。

吉野 女性ホルモンの働きには年代変動があって、20~30代前半は一生涯の中で最も分泌されている時期なんです。摂れば摂るほど効果を得られるというものではないので、体内生成で十分足りているこの時期に、外からイソフラボンを摂取しても、大海に一滴の水を足したぐらいの効果しかありません。女性ホルモンの分泌量は35歳を過ぎると徐々に減っていくので、更年期などの症状が出始めるようになったら補う必要が出てきます。

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