白肌、ヒゲなし、臭くない男たちの時代!

ヒゲ&日焼けは一昔前、“中性的”が鍵! メンズコスメ活況から見る「男らしさ」の現在

2015/08/11 18:00

◎若い男性の関心は「中性的」な美
 主流はこのようなビジネス向けの美容だが、そのほかの目的で美容に取り組む男性はいないのだろうか?

「男性美容は年々多様化していて、辻さんのような中性的、女装に近いヴィジュアルになっていく美容もあれば、ヒゲのカットの仕方、日焼けしてもシミを作らないスキンケアと、これまでの男性らしい外見のための美容もあります」

 音楽シーンではヴィジュアル系の系譜があり、年齢不詳できれいな男性が増えた。歴史的にみても「もともと源義経や天草四郎などもそうですが、日本は中性的な外見の中に男性美を見いだしてきたんです」とのこと。特に若い男性では、美白やUV対策をしっかりしている人が多いそう。

「母親から美容の手ほどきを受けていて、マイ洗顔料で顔を洗い、毎日化粧水をつけているという若い男の子は多いです。シミになるのが嫌なので日焼け対策もちゃんとして、日傘を差す男性も現れてきました。以前もてはやされた浅黒いワイルド系は“古い”という感覚で、ヒゲも生やさないし、どちらかといえば中性的。若い男性では向井理さんや佐藤健さん、ジャニーズ系を参考にしている人が多いです」

◎メンズコスメのニーズは?
 メンズコスメ市場の導入期である現在は、「どの年代でも、どの販売ルートを見ても、パイは大きくなっています。若年層をターゲットとした単価の低いプチプラと、お金をかけられる中高年向けハイブランドの両極端で、中間がないのが特徴です。女性と同じように、アンチエイジングもまだまだ伸びしろがあります」。そして製品のこと以上に男性からよく聞かれるのは、「ありすぎてよくわからない、何を選んでいいかわからない」ということ。メンズコスメ専門のウェブサイトもあるが、まだ数は少なく、口コミやテスターもそもそも多くはない。

「私たちのアンケートを見ても、約半数の男性が『どうしたらよいかわからない』と回答しています。シェイバー1つとっても回転式、ロータリー式、往復式などさまざまありますが、正しい選び方を知っている人は少ないんです。メンズコスメの市場は専門家が少なく、情報が圧倒的に不足していますから、情報発信が多ければ、より市場は伸びていくと思います」

 薄毛やデオドラントという潜在的なニーズを掘り起こし、啓蒙することで、ヒット製品を生み出したメンズコスメ市場。日焼け止めやスキンケアといった女性では基本的なケアも男性市場ではまだ黎明期ではあるが、世代間の価値観の違いが大きく認められ、若い世代が新しい男性像を求めているのは確か。

 また山川氏が言うように、男性と女性の美容心理の違いと、消費の中心となっているドラッグストアなどの一般化粧品では、どちらかというと化粧品会社のメンズ製品ではなく、製薬会社など他業種が活躍していることから、メンズコスメ市場は女性用化粧品市場とはまた違った市場形成をなしていくのだろう。
(美容ライター・庄司真紀)

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山川アンク(やまかわ・あんく)
(社)日本メンズ美容協会グランドアンバサダー、官公庁認定日本メンズ美容専門校学長。テレビ・ラジオ、新聞・業界紙などメディア出演多数。YouTubeのメンズ美容講座の総再生回数は25万回を突破。全国の講演会などでメンズ美容の社会的理解を深め、習慣の普及推進活動を行い、専門校の学長として人材育成にも取り組んでいる。

最終更新:2015/08/11 18:24
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