辛酸なめ子さん、どうして女性は友情を危うくしてまで友人の恋愛に口を出してしまうんですか？

■1回休むことが、友情を長続きさせるコツ

――相談が火種になるパターンもありますが、例えば彼氏ができると女友達との交流が極端に減るような、友情と恋愛の比重が偏るタイプも火種の1つです。とはいえ、付き合い初めはどうしても恋愛を優先してしまいがちだと思うのですが、周りの女友達にどうフォローすればいいでしょうか？

辛酸　飲み会があったら前半だけでも顔を出す、誕生日などの節目にプレゼントを贈って友情を忘れていないことをアピールするとかでしょうか。ただ、恋人ぐらいなら友情と両立できるんですけど、家庭や子どもとなってくると、友情が1回保留というか、休むという形にもなりますよね。

――1回友情が途切れることは一般的にはネガティブに捉えられがちですが、長い目でその友情を見たら、無理に付き合ってギスギスするよりは、離れて友情を続けるというのも大切ですよね。

辛酸　その方がいいと思います。人にはバイオリズムや波長があるので、それが相手と合わなくなったら自然と離れていくんじゃないでしょうか。

――女友達は付き合いが長くなるほどに、母親のような目線で接したり、妹のように庇護してほしいと思ったりと、無意識のうちに互いに求める役割が増えていくんでしょうか。

辛酸　「より素でいたい」「毒を吐きたい」という欲が出てくるんじゃないでしょうか。この前、久しぶりに高校時代の友達に会ったんですが、会った途端に「目を整形したでしょ」とか言われて（笑）、「特にやってないよ……」と返したんですけど。でも社会人になってからできた友人とは、そういった刺激的な会話もできないので、昔からの友達だから言えることだなと。一般的に、気持ちを打ち明けられる人＝親友みたいな幻想を持っていると思うんですよね。

――たしかに親友という幻想は根強いですよね。

辛酸　「親友がいないとダメ」みたいな風潮はありますよね。親友は相手に対して、ズケズケなんでも言っていいというイメージだからこそ、恋愛のダメ出しにつながっていく気がします。

――では、女友達との関係を長続きさせるためのコツや心構えはありますか？

辛酸　美輪明宏さんもおっしゃってましたが、腹六分目じゃないけど、距離を適度に置くということじゃないでしょうか。互いが本当に必要ならば、タイミングが合ってくるでしょうし。会う時期もあるし、会わない時期もある。それ自体、流れに身を任せた方がいいと思います。

――ちなみに、なめ子さんは親友は？

辛酸　心を開ける親友があまりいないってことに気づいたので、最近ついにYahoo!知恵袋に登録してしまいました……。遠くの友達より近くのネットです。あそこで悩みを聞いてもらおうかなと。私もそうなんですが、親友がいなくても悩みを打ち明けられる場所をみんな求めるんだなと実感しました。でも、Yahoo!知恵袋はコイン制で、持っているコイン内でやりくりしないといけない。Yahoo！のID非公開で投稿しているんですけど、それだとさらに300枚も失っちゃうんですよね……。それが新たな悩みです。
（取材・文＝小島かほり）

辛酸なめ子（しんさん・なめこ）
1974年、東京都生まれ埼玉県育ち。マンガ家、エッセイスト。セレブウォッチやスピリチュアル、女磨きなどをテーマに、数々の作品を発表。『サバイバル女道』（サイゾー）など多くの著作を持つ。近著は『なめ単』（朝日新聞出版）、『諸行無常のワイドショー』（ぶんか社）など。

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