イケメンドラマ特捜部【ジャニーズ&イケメン俳優】

『お兄ちゃん、ガチャ』、野島伸司がジャニーズ枠で描いた“アイドルと消費者”の関係性とは

2015/04/09 16:00
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『お兄ちゃん、ガチャ Blu-ray BOX』/バップ

 2012年の『私立バカレア高校』から続いてきた日本テレビ系土曜深夜ドラマ枠が終わってしまった。この枠は若手ジャニーズアイドルが出演する青春ドラマをコンスタントに制作する一方、SMAP・稲垣吾郎がカウンセラーを演じた『心療中‐in the Room‐』のようなカルトドラマも発表し、近年のテレビドラマでは減っていた若者向け作品を多く輩出する貴重なドラマ枠だった。

 中でも最大の収穫は、野島伸司が脚本を書いた『49』と、先日まで放送されていた『お兄ちゃん、ガチャ』だろう。同時に、『お兄ちゃん、ガチャ』で野島が描いた世界観こそ、このドラマ枠がジャニーズアイドルを使って描いてきたことの総括だったように思う。
 
 「これはとある世界のお話です」というテロップから、物語は始まる。バレエ教室に通う雫石ミコ(鈴木梨央)は、5人のお兄ちゃんを連れた蛇崩ナツコ(木村舞留)を見て、自分にもお兄ちゃんがほしいと思う。友人の御手洗四葉(原涼子)から、お兄ちゃんが手に入る「お兄ちゃん、ガチャ」の存在を知ったミコは、ゲームセンターに向かいガチャを引く。ガチャで引いたカプセルを浴槽のお湯に1日浸けておくと、翌日にはカッコいいお兄ちゃんが誕生。ミコはお兄ちゃんにトイ(岸優太)という名前を付ける。早速、お兄ちゃんになってもらおうと契約を打診するミコだが、しかしなぜかトイは契約を断る。その変わりトイはミコに新しいお兄ちゃんを見つけてあげると約束し、ミコはガチャを引き続けることになる……。

 ミコは、優しいお兄ちゃん、真面目なお兄ちゃん、ヤンキーのお兄ちゃんなど、さまざまなお兄ちゃんを引き当てるが、中々理想のお兄ちゃんとは出会えない。一方、トイには消去されたはずの前世の記憶が残っており、実は四葉の死んだお兄ちゃんの生まれ変わりであることが明らかになる。

 チーフ演出は『世紀末の詩』で野島ドラマを演出した大谷太郎。大谷は『銭ゲバ』や『殺人偏差値70』などの前衛的な問題作を多数演出しており、日本テレビきっての映像派と言われている。それはCGを多用した本作のビジュアルを見れば一目瞭然だろう。寓話的な世界観を構築するにあたって設計された、人工的な画面構成は、駄菓子屋に売っている合成着色料で加工された体に悪そうなお菓子のように毒々しい色使いだ。

 物語はお兄ちゃんと一緒に暮らし、途中までは「いいなぁ」と思うミコだが、最終的にはお兄ちゃんのある欠点が原因で、処分するということが繰り返される。主演のトイを演じた岸を筆頭に、本作のお兄ちゃんはジャニーズJr.のアイドルが演じている。キャスティングから見ても、本作がイケメン俳優やジャニーズアイドルと、彼らを消費するファンの関係を描いていることは明らかだろう。

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