角川慶子の「シロウトで保育園作りました」第85回

保育園経営者は見た! “小学校の縮図”のような園児の複雑な人間関係

2015/04/04 16:00
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プロデュースした、音羽の坂こども園が4月1日オープン! 繁盛してて本当によかった

 4月1日から新年度! なので、3月いっぱいでお別れの園児たちがいました。私もスタッフも人間だから、どうしても好きな子どもがいます。そんな子たちが小学校入学や引っ越しをしてしまうと、「明日○○ちゃん(くん)がいないなんて信じられない」という気分になります。先生も私も根は子どもなので、友達がいなくなってしまった感に襲われるのです。大丈夫か、この保育園(笑)。子ども目線すぎ!? ほかの幼稚園や保育園の先生は、もっとドライなのでしょうね。そもそも「よし! 保育園を作るぞ」で集まったメンバーなので、熱すぎなのかもしれません。

 今回は特に、“こまもり(駒沢の森こども園)のリーダー”の卒園は堪えました。食育の時間が終わった後、率先して「イス、拭こうか?」と言ってくれたり、請求書を作っていると「切手貼る!」と言って手伝ってくれたり、給食を毎回3回くらいおかわりするのに華奢な女の子で、娘と大の仲良しでした。この子の卒園は娘も寂しいようで、「小学校に入ったらがんばるんだよ」とお姉さん風を吹かせた手紙を書いて、最後に渡していました。ほかの女の子は将来の夢を「お姫さま」と答えるのに、その子は2年間ブレずに「魔女」と答える、私はこんなユニークなリーダーが大好きでした。家が近くなら、学校の帰りにランドセル姿を見せに来てくれることも可能ですが、この子の家は自転車の距離なので無理かな……。うーん、寂しい。

 あ、寂しいばかりじゃなくて、運気の悪いママとバイバイできた良さもありました。あんまり詳しくは書けないけど、入園の時はそこまで悪くはなかったのですが、どんどんダメ運気になり、こっちまで影響を受けそうで心配になっていました。そんなママを持つ子が、なんと幼稚園に行ってくれるというのです!

 新しいお友達もたくさん入ってきました。入園に合わせて、引っ越しまでしてきてくれた子、遠方なのに通ってくれる子、2年前から短時間通っていたけれどお母さんの育休明けとなりフルタイムで通うことになった子、在園児のきょうだい……。この後も5月、8月と時期をずらして続々入園してきてくれます。ちなみに専業主婦のママたちは4月1日を登園から外してくれた人も多かったです。保育の手薄を心配しただけかな? 人は十分足りているので心配ご無用!

■園児の人間関係も複雑です

 うちの娘の春休みといえば、今回は学童に行かず、私の出勤に合わせてマイ保育園に来ていました。翌日に小学校がないので、私もゆっくり生活することができるし、普段は3時頃退社していたこともあり(ほかの現場に行ったりしているので)、夕方の保育園の様子を久しぶりに見ることになりました。

 娘が小学校に入るまでは17時退社だったのですが、その時となにか違うことに気付きました。観察すると、おやつ後の掃除がかなり雑になっていたのです! それまでは私が掃除していたので米粒なんて落ちていません。クイックルワイパーなんて使わず、雑巾掛けをし、週1回は高性能スチームクリーナーの「シャーク」ですっきりです。クイックルワイパーだと端っこにゴミが溜まってしまったりして完全とは言えません。慌てて掃除をしました。

 観察つながりでもう一つ。春休みや夏休みなどの長期休みは、普段幼稚園帰りに来ていた子どもが朝から登園してきます。その子たちには2タイプいて、以前は毎日朝からこまもりに登園していたけれど、その後幼稚園に行くようになった子(Aタイプ)と、最初から幼稚園メインで長期休みのみ朝から登園という子(Bタイプ)がいます。両者では、遊び方が全然違うのです。Bタイプの子は、「いーれーて」と言って仲間に入っていけないようで、突然「先生! ○○ちゃんが遊んでくれない」と大人の力を借ります。Aタイプの子は勝手に遊びを思いついて始めていき、その遊びに興味を持った子が周りに集まってくる模様。保育士と「あの年でも人間関係が難しいのね」と話しました。私も様子を見ながら、「○○ちゃんも入れてあげてね」と誘導するなど、みんなが楽しい時間になるようフォローしました。年中くらいになると、もう小学校の人間関係の縮図のようなのですよ。

 保育園でうちの子はなにをしているかというと……散歩について行って、小さい子をおんぶしたり、抱っこしたり、ちょこちょこ面倒をみているのですが、お昼寝の時間に園児たちが寝静まると、ニンテンドーDSで『妖怪ウォッチ』をやったり、『ドラえもん』の漢字演習をやったり、最近マンガを読むことを覚えたので、一人で読んでゲラゲラ笑っていたりとダメダメ小学生。春休みは宿題が出なかったので、お勉強は週2回の個別塾のみです。学童の方が小学生に合わせたプログラムがあるので楽しいかと思っていましたが、「興味のないものも強制参加だし、休みたい時もあるんだよね」とのことで行きませんでした。視界に我が子が入るのは、仕事に集中できない&はかどらないで、本当に大変です! 保育園は子どもを預けるところであって、自分の子どものために作っていけません(笑)。

角川慶子(かどかわ・けいこ)
1973年、東京都生まれ。「角川春樹事務所」会長・角川春樹氏の長女。自身も元アイドルという異色の肩書きに加えて、ビジュアル系バンド好きで、元バンギャルの”鬼畜ライター”としても活躍。2011年9月1日に「駒沢の森こども園」をオープンさせる。家庭では7歳の愛娘の子育てに奮闘中。

最終更新:2015/04/04 16:00
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