[女性誌速攻レビュー]「CLASSY.」2月号

玉の輿結婚にあぶれた女の巣窟? 高齢化した「CLASSY.」で“35歳”企画

2015/01/15 21:00

 前号では、こうした趣味多忙型女性を「リア充アピールツライ」「自分磨き(笑)」などと嘲笑していたのに……。それとも“がんばっていれば「CLASSY.」の座談会であーだーこーだ言うような男より格段素晴らしい男性が迎えにきてくれる”という教訓なのでしょうか。

■「CLASSY.」に忍び寄る高齢化の波

 いつのまにやら「CLASSY.」が毎日を“丁寧に暮らす”大人の女性雑誌になってしまったのかと一瞬目まいがした着回し企画でしたが、今号にはこんなページも。「集中連載オンナの曲がり角『35歳』を乗り越える」。ええ!? 「CLASSY.」の想定読者って20代半ばじゃなかったんですか? 「今まで着ていた服が何だか似合わなくなったり体型が変わってきたり…読者が曲がり角を実感しているのは、実は35歳でした」とはリードの弁。扉の座談会では32歳、34歳、36歳の女性たちが「タイトなシルエットのものはもうはけないな」「ゆるっとしたニットを着るのが苦手で……どうしてもTHE主婦みたいない感じになっちゃわないかなと心配」「黒ってこの歳だと一歩間違えると入園式のお母さんみたいになっちゃうよね」「ゆるいシルエットのドレスにすると、業界の重鎮みたいな感じになる」など、およそ「CLASSY.」とは思えない脂の乗ったトークをかましています。“業界の重鎮”って。

 光文社文脈として考えるなら「CLASSY.」を卒業したら「VERY」に移行するのが定石。しかし「VERY」はコテコテの勝ち組奥様雑誌です。たとえ年齢的には同じでも独身女性が「VERY」に共感するのは難しい。そこで博士の学位取得後もそのまま大学に居残るオーバードクターのような、いわば“オーバーCLASSY.”が、読者にもきっと多くいるのでしょう。だからこその「35歳問題」。結婚はしたけどまだ「奥様」化するつもりはない、結婚はしていないけど「ずっと1人で生きていく」覚悟をしてるわけでもない、今後「CLASSY.」はこの2つのオーバーCLASSY.をターゲットに抱えていくという決意宣言のようにも思えた「オンナの曲がり角」連載でした。

 結婚したい「CLASSY.」から勝ち組奥様「VERY」への移行を阻んでいる裏要因の1つとして考えられるのが、「『いいボンボン』と『悪いボンボン』の見分け方」です。ウィスキーボンボンでもなければ仲悪い芸人でおなじみおぼんこぼん師匠でもありません。お坊ちゃまのボンボンのことですのであしからず。

 こちらの企画、ボンボンを「いいボンボン」(大黒柱ボンボン/自立型ボンボン)、「悪いボンボン」(温室育ちボンボン/女好きボンボン)に分け、タイプ別人物考察と落とし方を指南しています。しかしこれ、「いいボンボン」と「悪いボンボン」の違いがほとんどないように思うのはこちら悲しき庶民だからでしょうか。「悪いボンボン」のマザコン話や浮気ネタはまぁ置いておいても、「いいボンボン」のほうも大概で、結婚しても「精神力を鍛える」とマラソンや加圧トレーニングに励んで家事や育児にはノータッチ、会社を辞めて突然実家にあったレンガの蔵を改装して喫茶店を開いたりなど、やることなすこと自由~。これを「大人になっても少年の心を失わない夢がある生き方に惹かれ(結婚)/航空会社勤務・30歳」と言えちゃう、選ばれし女だけがボンボンの妻になれるのですよ……。

 ちなみにこんな「ボンボンと上手に付き合っていくのに必要なことは?」をまとめると、「若さと美貌を保ち、聞き上手に徹し、実家の発展に寄与できる実務能力を持ち、時には第二の母として彼を支え、浮気は甲斐性と割り切る」だそうです。神です。そりゃ世の中にオーバーCLASSY.があふれるわけです。

 女の中に眠る「自意識」という魔物を「エエ男との結婚」という祭りで鎮めてきた「CLASSY.」。この鎮守が徐々にほころびを見せているように感じるのは、筆者だけでしょうか。
(西澤千央)

最終更新:2015/01/15 21:00
CLASSY. (クラッシィ) 2015年 02月号 [雑誌]
このままだと「CLASSY.」から「婦人公論」にいっちゃうな
アクセスランキング