[女性誌速攻レビュー]「婦人公論」9月7日号

「婦人公論」の“自信を育てる”特集で読者を励ます、田原俊彦の“超トシちゃん”な生き方

2014/09/04 15:30

 世間からバッシングされても、終わった人扱いされても「トシちゃん」で居続けることにこだわり、地道にCDを発売し、コンサートやディナーショーに精を出す。「実のところ根は心配性で、ものすごく気にしい。だからこそ、“根拠なき自信”を本物にするために、努力しているんです」。こんなトシちゃんの言葉に、今号の特集の答えは集約されているのではないでしょうか。心配性でネガティブだからこそ「日頃から意識しているのは、常にポジティブでいることですね。たとえ凹んでいても『ハッピー!』『メリークリスマス!』『おっぱい!』とか意味不明なことを叫んで笑い飛ばしちゃう」そうですが、お、おっぱい……? これが笑い飛ばせるのはトシちゃんがビッグなタレントゆえ、マネをしたら手痛い目に遭いそうです。

■自信特集でも根底にあるのは親子問題

 体験ルポ「性格リフォームの『心屋塾』に入門してみた」によると、自分を好きになれない、すなわち自分に自信を持てない原点には「幼少期の経験や学び」が影響しているそうです。子どもの頃の家族関係や友人関係が後々の自己肯定にも影を落としているそう。家族の信頼関係については、“自信”特集以外でも多数語られていましたので、ここに一部紹介したいと思います。

「中高生で性感染症や中絶を繰り返すような子は、性教育が行き届いていないというのも事実ですが、たんに知識として知らないだけじゃなく、そもそも自己評価が低いように思います」(宋)
「子どもの話をじっくり聞くというのは、本当に大事だと思います。親との信頼関係が揺らいでしまっている子は、自分に自信が持てなかったり、物事を前向きに捉えられなかったりします」(黒羽)
(宋美玄×黒羽幸宏 知らないのは親だけ――ネットでセックスを学ぶ少女たち)

「そこで出会った人々と話して感じるのは、それぞれ形は違っても、親の愛情不足が依存症の原因となるケースが多いのかな、ということ。子ども時代に、親に依存できないことから他のモノに依存してしまう――」
(「女性が陥る『依存症』」より、「ASKAが受けている治療『条件反射制御法』を体験して」)

 子どもの自己評価の低さは、親との信頼関係に問題がある。しかし放っておけば「愛情不足」と言われ、行き過ぎた干渉は「毒」と断罪され、さじ加減が難しい親と子の関わり。たぶんそこに正解などは存在せず、お互い「このくらい?」「こんな感じ?」と探り合いながら徐々に経験を積み重ねるしかないのでしょう。親と子の関係に「正解」を求めてしまうから、「自信のない親」と「自信のない子ども」になってしまうのかもしれません。

 自ら親であり、また年老いた親の子どもでもある「婦人公論」世代。2つの顔を持つがゆえに、当時死ぬほどイヤだった親の言動に近いことを自分がしていて絶望したり、自分の親への思いと子どもの自分への思いが一致していることを認めたくなかったり。尽きることのない悩みに疲れたら、このトシちゃんの言葉を思い出しましょう。

「今、何かの事情で悩んでる人、一度、田原俊彦の人生やってみなよ。いろいろあるから1週間でギブアップだよ。その代わり、めちゃくちゃ楽しいけどね(笑)」

 あぁ私たちにはトシちゃんがいる!!
(西澤千央)

最終更新:2014/09/04 15:36
婦人公論 2014年 9/7号 [雑誌]
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