化粧品開発者が明かす「コスメ種あかし」

肌への負担は「水>オイル」! 大人気の美容液入りクレンジングは本当に肌にいい?

2014/08/07 21:00

――オイルタイプのクレンジングは、「肌に必要な油分まで落としてしまう」また「肌が黒ずんでしまう」といったトラブルがあるとうわさされています

尾崎 オイルタイプのものは、汚れを落とす目的の成分「界面活性剤」が多く入っているというイメージから、肌トラブルの原因になるといわれているのでしょう。現在、クレンジングの主なタイプとして挙げられるのが、「オイル」「クリーム」「ミルク」「リキッド」「水」かと思いますが、オイルが一番界面活性剤の量が少ないんですよ。それは、オイルはオイルだけでメイクを落とすことができるから。

 しかし界面活性剤は、「台所洗剤に入っているもの」という先入観から、体に悪いものというイメージがありますが、要は汚れ落とし成分の総称なので、生活洗剤とまったく同じ種類のものが入っていると思わないでください。それに界面活性剤は、成分を乳化させる効果があるため、食べ物にも含まれているし、体内にもあるものです。

――漠然とオイルタイプは肌に負担がかかると思っていたので、驚きです。

尾崎 むしろオイルは、メイク落としをする際の肌への摩擦が少なく済みますし、乾燥対策にも使えるので、私はオススメします。オイルで肌が黒ずむというのも、「酸化して肌の黒ずみを招く」などというデータはありませんし。しかし、オイルクレンジングの場合、しっかりとメイクとなじませ乳化させて落とす……という手間があるので、それができておらず、メイクが肌に残ってしまい、肌荒れしてしまう人が多いです。成分が……というよりも、クレンジング方法で負荷を与えている場合もあります。

 また最もナチュラルなイメージが強い水タイプですが、界面活性剤が最も多く、オイルフリーな分、乾燥しやすいんです。また水が入っているという性質上、防腐剤を入れないと劣化してしまいます。それらを考えると、肌に負荷が大きいかなと感じます。

――では、「オイル」「クリーム」「ミルク」「リキッド」「水」というタイプ別で、オススメの使い方を教えてください。

尾崎 メイクをしっかり落とすにはオイルタイプですが、ちゃんとなじませなければならず、また体内からの汚れ(垢など)を落とす成分は含まれていないので、ダブル洗顔は必須です。クリームタイプは、洗い落としが難しい半面、部分的にメイクオフをする時、綿棒につけてちょいちょいと落とす、という時に適していますね。ミルク・リキッドタイプは、メイク落としが丁寧にできないという“手抜き”したい場合には適していますが、その分、肌に負担がかかるかなという感じです。そして、ダブル洗顔がどうしてもできない時だけ使うというのが、水タイプといったところでしょうか。

 ちなみに移動中などに「洗顔せずに、肌への負担も少なくメイクオフしたい」場合は、スキンケア用のクリームでもOKですよ。デイリーメイクならこれで十分落ちますし、保湿成分もクレンジング剤より多く配合されているので、飛行機・電車内での乾燥予防にもなります。

――敏感肌の人にオススメなのはどれでしょうか?

尾崎 美容効果の類は先ほど述べたとおり別物なので置いておいて、一番作りがシンプルだからという理由で、やっぱりオイルタイプ。しかし、どんなクレンジングを使っても、肝心なのは「こすらずに、そっと卵をなでるようなソフトタッチで落とす」こと。摩擦は、黒ずみや肌荒れの原因になるので、クレンジング剤の負担もそうですが、落とし方も気を付けてほしいです。
(取材・文/佐川みえい)

尾崎幸子(おざき・ゆきこ)
化粧品開発者/コスメ成分アドバイザー
文系の大学を卒業後、人材ビジネスに10年間従事するも、シャンプーのPRに関わったことを機に化粧品に興味を持ち、大手化粧品メーカーの開発などを手掛ける化粧品開発コンサルタント・岩田宏氏に弟子入り。化学の基礎から化粧品処方までを学び、2013年11月、自ら開発したジェネリックコスメ「MUQ」を発売。自身が皮膚疾患を抱えていることもあり、体に優しく、正しく機能する化粧品を現在も開発中。日々ビーカーを片手に実験に勤しみながら、客観的に正しいコスメ情報を発信すべく、「コスメ成分アドバイザー」としても活動中。
公式サイト

最終更新:2018/07/30 17:21
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