【連載】ブラック企業<黒の社則>

恋愛感情で新卒採用、意味不明の誓約書――ベンチャー企業のブラックすぎるワンマン社長

2014/05/06 16:00

「残業100時間超えの勤務体系」「エロ上司からのセクハラ」「洗脳じみた体育会系社員研修」「妊娠したら自主退社という社風」――働く女誰しもが恐れる「ブラック企業」がはびこる時代。ネットを炎上させるブラック企業は、氷山の一角にすぎない。まだ日の目を見ていない、戦慄必至の「ブラックofブラック」な企業をご紹介する。

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Photo by Chiaki Hayashi from flickr

【黒の社則 第4条】
電話取り次ぎミスをした新入社員は、今後一切の休日を認めない
(不動産業界 ベンチャー企業)

 ブラック企業を生み出す要素はいくつも考えられるが、その一つに「経営者の意識の低さ」というものがある。「経営者は従業員を意のままにできる」と勘違いした経営者が、従業員を私物化するというタイプのブラック企業が存在するのだ。今回は私的な感情により、従業員のプライベートにまで踏み込んでくるような、逸脱した経営者がいるブラック企業を紹介しよう。

 今回取り上げるのは、関東のある都市の不動産を取り扱うベンチャー企業。従業員は30~40名程度で、わりとよく見かける規模の企業だ。その会社に、新卒で入社したのがMさん(女性、現在26歳)。そして、「あの社長は、まさに『勘違いした経営者』そのものでした」と語る。

■入社初日に言われた衝撃的な一言

 社長の勘違いぶりは、入社初日に早速炸裂した。Mさんを含む新入社員は、社長から直々にこう告げられた。

「当社に入社するにあたって、君たちには『誓約書』を書いてもらう。君たちを雇ったことで1人当たり数百万円かかった。もし君たちがすぐ辞めたら、それらがムダになる。よって、5年は絶対に辞めないこと」

 Mさんたち新入社員は、一様に戸惑った。だが、その時はただそう説明されただけで、実際に「誓約書」の用紙が手渡されることはなかった。「本当に、そんな誓約書を書かなければならないのか?」と不安に思ったMさんは、ある先輩社員に、こっそりと「誓約書」の存在を聞いてみた。するとその先輩は、怪訝そうに「そんなもの、私が入社した時にはなかったよ」と語り、続けてこう言った。

「うちの社長は、ちょっとおかしいから。疑問を感じたなら、すぐ辞めた方がいいよ」

 これには、Mさんも驚いた。そして、「先輩はどうして会社にいるのですか?」と聞くと、「直属の上司を尊敬しているから。その人が辞めたら、私も速攻で辞めるけど」と答えたという。

 さて、その社長が新人たちに「書け」と告げた誓約書だが、言うまでもなく無効である。そもそも、日本国憲法で職業選択の自由が明記されている(22条)のであるから、「○年は絶対に辞めないこと」と強制はできない。こうした、基本的な法令無視、というよりも甚だしい非常識は、ブラック企業の経営者にしばしばみられる傾向だ。

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