[連載]安彦麻理絵のブスと女と人生と

ブス本界に燦然と輝く、ドリフ「もしもコント」風味の“なったつもり”ダイエットの底力

2014/03/23 21:00

 てなわけで。ソッコーで書店に赴き、ふんだくるように本を買い求め、夜、子どもらが寝静まってから、とんがりコーンをつまみにビール飲みつつ熟読。「ホントに痩せる気あんのかよ」と、作者の人にツッこまれそうなシチュエーションで読んだわけだが、はっきり言って目からウロコがボロボロと落ちるような内容……「デブは言い訳が多い」というその一言が、胸に深~~~~くグッサリと突き刺さったのである、いや、まったくその通り。私なんてホントに、頭のてっぺんから足の先まで、すべて言い訳でできているようなものである。「育児に疲れてストレスまみれだから食べてしまう」というのは、まったくの言い訳にすぎない。第一、私の友人に、3人の子持ちのストレスまみれな女がいるが、彼女はぜんぜん太ってない。てゆうか、むしろ痩せてる方である。というのも、彼女は「食べること以外でストレス解消する」からだ。

 これは、わたなべさん言う所の「スリムな人特有の行動」だそうである。だとすれば、私のやってることは明らかに「デブにありがちな行動」……なにしろ今年の確定申告で、レシートの整理をしてたら、後から後からわらわらと、出てくる出てくる、ピザハットの領収書。「休日の子どもらの相手が大変だった」を言い訳に、子どもを寝かしつけてから宅配ピザを食いまくってたわけである。「痩せた~い☆」とか言いながらも、ピザハットの「太い客」になって、どうすんだ私。……ああ、私という人間は……自分がデブったのを全部、子どものせいにしていたのだ。

 そんなふうに、わたなべさんは自分も含め、太った人の行動と、スリム美人の行動をつぶさに観察し、そして生活の随所で「スリム美人だったらこんな時どうする!?」と、自問自答、それでデブの生活習慣から脱却し、見事に30キロ痩せた、というわけである。私もこの「スリム美人になったつもり」を数日やってみたが、これがなかなかおもしろい。「スリム美人は、夜、食事を楽しむ予定がある時は、朝と昼に胃袋の調整をするはず!!」「パスタにこんなにアホみたいに粉チーズぶかっけたりしないはず!!」「スリム美人は昼間っから、酒飲んだくれたりなんてしないはず!!」等々……自分で妄想をたくましくさせて、スリム美人になったつもり、で行動すると楽しいのだ。ちなみに私は、休日の午後3時頃になると、いつも缶ビールなんぞに手を出してしまったりするのだが、それも、「もしも私がスリム美人だったら」と、まるでドリフの「もしものコント」のように考えれば、日が暮れるまで待とうじゃないかという気になれる。「ダイエット中だから飲んじゃダメ!!」と、自分を抑制するよりも、あまり苦痛を感じないのが素晴らしい。

 考えてみれば「ドッグトレーナーになったつもり」も、非常に楽しかったりする。というのも、自分が、すごく強くてカッコいい女になれたみたいで、己に自信が持てるからだ。……ああ、私、犬をビシッと飼いこなす、ケツ・顔・腹がたるんでいないイカした女になりたい……この本の続編『もっと!スリム美人の生活習慣を真似したらリバウンドしないでさらに5キロ痩せました』も、ソッコーで買い足したのは言うまでもない。続編にありがちな「内容が薄まった感」はまったくなく、むしろ、さらに色々深く考えさせられた。この2冊、今、私の本棚の中で最強のスタメンになりつつある。

 ……ああ、あの、普段はサエない北島マヤも、舞台『ふたりの王女』では、見事にアルディス王女の仮面をかぶって、周囲を圧倒させる程に光り輝いていたではないか……おんなは誰しも女優になれる……だとすればこの私も、スリム美人の仮面をつけて……クワ!!(白眼)。後日「……やっぱり挫折しちゃいました」というセリフは、絶対に言いっこなしにしたいもんである。

最終更新:2019/05/21 16:23
『もっと! スリム美人の生活習慣を真似したら リバウンドしないでさらに5キロ痩せました (メディアファクトリーのコミックエッセイ)』
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