【連載】芸能人夫婦百景

熊切あさ美に教えたい、田中将大投手の妻・里田まいの「沈黙する」という力

2014/02/11 15:00

独身女性にとっては、海のものとも山のものとも知れない結婚――。世間をにぎわす芸能人夫婦から見えてくる、さまざまな結婚・夫婦のあり方に、“結婚とは何ぞや”を考えます。

【第6回】里田まい&田中将大

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(左)「里田まい with 合田家族』/アール・アンド・シー(右)『東北楽天ゴールデンイーグルス 田中将大 KISEKI プロ7年間の軌跡と奇跡の無敗記録』/ポニーキャニオン

「里田、素敵やん。すごさを見抜いていたオレはもっと素敵やん」

 里田まいをバラエティタレントとして開花させた島田紳助が、テレビの前で唸る姿が見えるようである。

 タレント里田まいの夫・楽天イーグルスの田中将大投手が、ニューヨーク・ヤンキースと7年間で161億円という破格の待遇で契約を決めた。2012年の里田との結婚以降、田中投手がリーグ最多奪三振、完投完封でリーグトップ、無敗の24連勝を成し遂げたこと、またブログに載せた手料理のクオリティの高さが評判を呼び、里田は「球界一の賢夫人」「あげまん」の称号をほしいままにしている。新居はニューヨークにある、ビル・ゲイツやビヨンセも住む超高級マンションだそうだ。

 元おバカタレントから、国際的セレブ妻へ。あまりに見事な転身ぶりに、「おバカは芝居だった」との揶揄の声も聞こえてくるが、条件的に考えて、かねてから里田は「セレブ妻」の資質を持っていたのではないだろうか。

 景気の悪化に伴い、専業主婦が減少しつつあるが、それでも専業主婦で「いなければいけない」女性たちがいる。伝統芸能の家がその代表格で、以前もこの連載で触れた、歌舞伎の名門・市川家に嫁いだ海老蔵夫人の小林麻央がこれにあてはまる。プロ野球選手の妻もまた、同じ区分である。どちらも「内助の功」の代名詞であるので、夫のために全てを捧げなければ、夫の周辺も世間も納得しない。そのためには、仕事を辞めたくない、もしくは辞められない一流の女性よりも、自分の力では主役は張れないから、夫のために尽くした方が“トク”と割り切れる「B級力」が必要となる。

 結婚前の里田は、モーニング娘。のオーディションに落ち、カントリー娘。に加入するもパッとせず、おバカタレントとしてブレイクはしたが、頼みの紳助も引退してしまい、先細りは目に見えていた。つまり里田は、知名度があって、仕事はいつでも辞められるという点で、「完全なB級」であったわけである。

 次に「おバカは芝居だった疑惑」についてだが、諺や漢字を知らないという知識量で言えば、確かに里田は「おバカ」であろう。しかし、なぜ里田がクイズ番組に呼ばれていたかといえば、「おバカ役」をやるためである。求められた役割をきっちり果たすのは、優秀な仕事人といえるのではないか。

 そもそも、なぜバカがもてはやされるかといえば、根拠なく「自分は女より賢い」と信じる男たちを喜ばせるためである。女のおバカ発言は「あなたを凌ぎませんよ」という意思表示で、「男を立てられる女」の証しであり、男社会を賢く渡るためのスキルである。その昔、里田は「そうは○○○が下ろさない」に入る言葉を入れろと言われ、「おカネ」と答えて爆笑を誘ったが、機転が利き、かつ愛嬌のある答えは、真のおバカには決して思いつかない。 里田は芸能人としても、女としても実は相当賢いのだ。

『里田まい with 合田家族』
数年前は、misonoを背景に背負ってた女だったのに!!
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