仁科友里の「女のためのテレビ深読み隔週報」

西川史子、離婚の背景に蠢く、“最愛の母”からの教えとは?

2014/01/18 18:00
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『女盛りは、賞味期限が切れてから』/マガジンハウス

羨望、嫉妬、嫌悪、共感、慈愛――私たちの心のどこかを刺激する人気芸能人たち。ライター・仁科友里が、そんな芸能人の発言にくすぐられる“女心の深層”を暴きます。

<今回の芸能人>
「バカだな、ダメだなって男の人に言われるのが夢だった」西川史子
『サンデー・ジャポン』(1月12日放送、TBS系)より

 西川史子だけは、どんなことがあっても離婚しないと思っていた。

 夫婦不仲なのは周知の事実だった。西川自身が番組で夫の家出を告白していたし、連載中のエッセイでも、自分が家を出てホテル住まいをしていることも明かしている。が、不仲と離婚は、決してイコールではない。なぜ私が「西川が離婚しない」と思っていたかというと、西川は母親の言うことを全て聞く、“超従順娘”だからである。

 西川を語る上で欠かせないのが、母親との関係性だと思う。西川母が娘に教えたのは、「目的のためには、手段を選ぶな」ということだった。

 娘を医者にするため、西川母は勉強に関係ないことを徹底的に省く「合理主義」を取った。例えば、受験に関係のない科目、家庭科や美術の宿題は、金を払ってプロにやらせた。西川が「医学部に行きたくない」と言い出せば、学費は出さないと脅す一方で、医学部合格に向けて勉強するのであれば、小遣いは無制限に与えるなど、アメとムチ政策を取る。強烈なこの合理主義は、勉強以外でも発揮された。「ウラがあるから、女友達は作らなくてよい」と教え、「男に捨てられるリスクを回避するため、六股をかけろ」と説く。母親もお嬢様という触れ込みだが、なりふり構わぬその姿は、「実はお育ち悪いんじゃないの?」と疑いを抱かせるほどのハングリーさである。

 西川母子の独特な関係を物語るのが、離婚危機の際の娘への説得法だ。西川の母親世代であれば「テレビばっかり出ていないで、夫婦の時間を大事にしろ」と諭すだろうが、西川母は「医者にもなれた。テレビにも出ている。これ以上の幸せを望むと、病気になる、だから結婚生活はうまくいかなくていい、離婚するな」という突飛な論理を展開したと、西川は著書で語っている。形ばかりの結婚を推奨する母親も変わっているが、何より不思議なのは、西川も「ですよね」と素直に従っていることである。そんな「母親の言う事は絶対」という娘であるから、私は、母親が「離婚するな」と言えばしないだろうと、私は踏んでいたわけだ。

 結果的に離婚してしまった西川だが、母親からの「課題」を守るための努力は欠かさなかったようだ。結婚生活がうまくいくようマニュアルを熟読し、元タカラジェンヌのアドバイスを受けて、夫を「ほめる、立てる、甘える」メールしていたという。

『女盛りは、賞味期限が切れてから』
一生、母の洗脳に気づかない娘もいるのかも
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