深澤真紀の「うまないうーまん」第5回

出生率は変わらないのに、「セックスしない国・日本」を問題視する不思議

2013/11/05 19:00
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イラスト:小野ほりでい

 最近、こんな記事がネット上で話題になっている。

・『日本の「セックスしない症候群」をBBCが特集』
・『「なぜ日本の若者はセックスをやめた?」英紙記事が2万FBシェア』

 イギリスの国営放送局BBCや新聞紙「ガーディアン」に、「日本の若者がセックスしない」という記事が載り、これが世界で話題になったというのだ。

 私はこの光景には見覚えがある。日本で「草食男子」が話題になった2009年にも、これと同じ状況が展開され、私も多くの取材を受けたからだ(ちなみに今回の記事が載ったことでも、私のところにもまたドバイの放送局アルジャジーラなどから問い合わせがあった)。

 「草食男子」は「herbivorous boys」(「草食」の「男子」)と訳され、アメリカのニュース専門局CNNワールドニュースでは、草食男子を「Japan’s ’herbivore men’」として取り上げ、名付け親の私が取材を受けた。CNNチームは「奇妙な日本人の新しいセックス」という取り上げ方をしたかったようだが、私は「男女で友情を持ったり、地元や家族を大事にする若者なのだ」と説明をした。それでもこの番組が世界で話題になったことで、草食男子が世界に一気に広まったのだ。

 イギリスのインディペンデント新聞の「Japan’s Generation XX」という記事には、「草食男子は化粧をし、メンズブラを身につけ、トイレでは座って小用をする」というひどい内容が書かれていた(この記事では私は取材を受けていない)。この記事が面白おかしい内容のためにさらに世界中で広まり、フランスの新聞「フィガロ」には「少子化は草食男子のせいか?」と聞かれ、「そんなことはない」と言っているのに、「深澤は草食男子のせいで少子化が進んだと言っている」と書かれてしまって本当に驚き、取材した記者にメールで抗議したが返事はなかった。

 とにかく日本という国は、ほかの国から見ると「奇妙な国」に見えるらしい。欧米人にとっては、日本男性というのは、「男尊女卑」だったり、「セックスレス」だったり、謎の多い存在なのだろう。そのためにこうやってなにかあると記事になってしまう。しかし欧米的な男性らしさや恋愛観やセックス観だけが必ずしも正しいわけではないし、日本人だけが奇矯な存在なのではない。

 そして、「日本人は草食だから、セックスしないから、少子化なのか」というのは、この頃から国内外のメディアからよく聞かれた。しかし、草食男子やセックスの回数と少子化は関係ないのだ。

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