【連載】彼女が婚外恋愛に走った理由

「綾奈ちゃんママ」という呼び名に縛られて――婚外恋愛する女の娘への思い

2013/09/01 16:00

 しかし、麻由さんが24歳の夏に第一子の女の子を懐妊してから、事態は一変。義母から「妊婦を働かせていると世間体が悪い」と指摘を受けて、ピアノ教室はすぐに休業した。決して都会とはいえない街で、姑やご近所の目が気になりだし、麻由さんは次第に行き場を失っていく。

「そこでようやく気付きました。私は一体何のために“結婚”をしているんだろう? って」

 麻由さんは、子どもがほしいわけでも、家庭がほしいわけでもなかった。渇望していたのは、“夢”ではなかったのだろうか? しかし麻由子さんは、かぶりを振る。

「正直言って、自分でもよくわからないんです。……だから今、こうして婚外恋愛を続けているのかもしれません」

■「名前を呼んでほしい」という思い

 その後、2人目の女の子を授かった麻由さん。午前6時には起床して、義父母を含めた家族6人分の朝食を作る。午前8時半過ぎには子どもや夫を送り出し、すぐさま携帯電話を手にして、婚外恋愛中の彼に連絡する。麻由さんはそんな毎日を送っている。

「今付き合っている彼は、結婚してから4番目の彼です。出会い系サイトで知り合いました」

 出会い系サイトを通じて恋愛を始めるようになったのは、次女が生まれてすぐの頃。もう10年以上も続けているという。今の彼とは、遠距離恋愛。同い年の既婚者で、子どもはいない。IT企業の営業で、毎週のように全国を飛び回っているという。

 そんな彼とはLINEを通じて、毎朝の「おはよう」から始まり、毎晩の「おやすみ」まで、やりとりは欠かさない。次女が手離れした今では、ピアノ教室を再開し、年に数回リサイタルや勉強会で、彼の地元へ行くという。そして彼もまた、出張の予定を割いて、麻由さんの地元近くの繁華街へと出向く。彼とのデートは、麻由さんにとって何にも代え難い貴重な時間なのだ。

「決して夫婦間が冷えきっているわけではないんです。子どもたちを介しての家族仲は非常によく、今でも数カ月に1回くらいの割合でセックスもある。でもまぁ、あくまでも“形”だけのセックスですが……触れられれば身体は感じるけれど、心は感じませんよね。彼とのセックスは愛情たっぷりで、心も身体も感じられるから、まったく別物です」

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