"噂の女"神林広恵の女性週刊誌ぶった斬り!【第177回】

森公美子の“ロングブレス”発言が気づかせたダイエット業界のタブー

2013/06/05 16:00

 確かに呼吸は大切だ。ヨガだってピラティスだって呼吸が鍵だったりする。ある程度の効果はあるだろう。でも「それだけで」は痩せない。物すごく運動してもバカ食いしたら痩せるはずはない。いや普通に食べていても痩せない。森もロングブレスと並行し、炭水化物は昼ちょこっと摂るだけで、夕飯は午後6時までに済ませる。サプリも併用して、腹筋100回、5~10キロのウオーキング。確かに涙ぐましい努力である。これだけやれば、別にロングブレスでなくても痩せるだろう。そもそも美木自身、妻の食事管理の下、鶏肉はささみしか食べない、なんて食事にも気を使っていることを明かしている。ロングブレスだけでは痩せない、維持できない。継続すればある程度の効果はあるだろうが、それも数キロ程度だろう。後は食事と運動!

 しかしその努力は番組では放映されることなく、全て美木のロングブレスの功績とされた。納得がいかないのは当然だ。納得いかないのに、結果、美木のロングブレス宣伝にも加担したことにもってしまう。普通の芸能人ならこうした“利権”にうまく乗っかろうとするだろう。だから本当のことを言わない。しかし森は違った。「ロングブレスだけでは痩せない」と真実を語ったのだ。

 当然の事実が大きな反響を呼んでしまう。そこには番組制作サイドに意図と、ダイエットという巨大マーケットが控えている。ロングブレスだけでは痩せない。食事制限や運動も不可欠――。こんな事実を明かしてしまえば、ロングブレスの人気も落ちる。視聴率も落ちる。美木の書籍売り上げも落ちる。金儲けができなくなる。関係者の旨みがどんどんなくなる。そういうことだ。ラクして痩せるなんて所詮は幻想でしかない。

 「ラクして痩せる」――人の弱味に漬け込む、なんと欺瞞に満ちたエグイ商法だろう。人々の「痩せてキレイになりたい」願望を手玉にとったお金儲けであり、巨大利権でもある。その証拠に「ラクに痩せられる」といったサプリやダイエット法が出現しては消えていく。本当にそんな素晴らしいダイエット法やダイエット食品が存在するなら、世の中には肥満は存在しないはずだ。でも現実は違う。新たなダイエット法、食品が次から次へと出現し、また消えていく。相当儲かるのだろう、それが延々と続いているのが現実だ。ロングブレスだって、数年後には「そんなの、あったね」的存在となるに違いない。それに一石を投じたのが、今回の森公美子だったのだ。

 ダイエット――。飽食の現代社会において、永遠のテーマには違いない。しかしそこには、“ラクをしたい”という人間の弱さに漬け込み、巨大マーケットを狙う有象無象がひしめいている。やっぱりダイエットはひたすら努力と意識改革あるのみ。そんな当然のことがまるでタブーとなり、大騒動になってしまう。ダイエット業界の恐ろしさ、闇を教えてくれた一件でもあった。

『五十男の正論、暴論、グチグチ論 』
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